花雪シンフォニア | ナノ

!未来設定、結婚後
!子供のデフォルト名:咲(サク)
!音也視点



その日、"彼"と同じアイドルグループに属す音也達に激震が走った。
理由は藍色がかった短い髪を持った眉目秀麗の男―――トキヤとその腕に抱きかかえられた小さな存在である。


「お早う御座います」
「お、おぉ・・・」
「あ、ああ・・・?」
「・・・えっと・・・」
「・・・・・・・・・お早うイッチー」
「お早う御座います、トキヤくん!
って、わあ今日は咲くんも一緒なんですね!
何だか前見た時よりも少し大きくなりましたねぇ」


・・・皆が皆、トキヤの腕の中にいる存在をガン見している。
唯一那月だけが通常運転みたいだけど・・・。
ていうか久々に見たなぁ。


そんな事を俺がぼんやりと考えていたら子供にしては凄い静かにその子は口を開いた。


「おはよーございます、・・・えっと今日はおせわになります?」
『・・・・・・え?』


・・・とりあえずお世話って何の事?
俺達の心なんて露知らず、子供もとい咲は和やかに「ちゃんと言えたよ」ってトキヤに報告している姿は可愛らしいの一言に尽きる。
あ、そういえばちゃんと挨拶が出来るんだね流石トキヤの子供だ!
育児も完璧だなんて凄いねトキヤ!
・・・ていうかトキヤ、まず最初に何で羽島さんがいなくて咲がいるのとか、其処等辺詳しく説明してくれるかな!



  ♂♀



「つまりイッチーのハニーは昨日から長期ロケで子育てが出来ないし、かといって一人で留守番させるのも心配だからとりあえず此処に連れてきた、と」


レンが簡単に纏めてくれたお陰で俺達も納得出来た。
良かった羽島さんに逃げられたとかそんなんじゃなくて!
もしそうならトキヤ、完全に荒れるのが目に見えてるし・・・何より想像すらしたくない。


「他に頼れる人はいなかったのかよ?」
「静雄さんに預けられなかったんですかトキヤ君?」
「・・・四ノ宮、それは本気で言っているのか?」


・・・そう言ったマサの顔は若干血の気が引いている。
うん、マサの言いたい事は分かるよ。
トキヤの奥さんである羽島幽のお兄さんはあの平和島静雄だ。
池袋散策しているところに突然自販機を投げ飛ばしている姿を俺達は見てるし、そりゃ心配だもんね!
サラッとそんな人の元に預けたらと提案した那月はやっぱり色んな意味で凄いと思う。いやホントに。


「それも考えたのですが・・・」


考えたの!?と絶叫しそうになった俺。
だけどそう思ったのは俺だけじゃないみたいだ、横目で見るとレンと翔、そしてマサも同じようなリアクションをとってるし。
・・・多分、俺も似たような顔をしているんだろうな。


「とーさんといっしょがいいってぼくが言ったから」
「・・・咲が、か?」
「・・・」


マサの呼びかけに静かに縦に首を振る咲の仕草はこの子の母である彼女を思い出させる。
短い黒髪は彼女、紺碧色の瞳はトキヤ似で。
上手い風にブレンドされてるなぁ。
・・・あれ話が逸れた?


「それにおとやたちにも会いたかったし」
「うわ何それすっごい嬉しい事を言ってくれるね咲!
よーしもう少し時間があるし何して遊ぶ?」
「あっ音也くん僕も咲くんと一緒に遊びたいです!」
「ま、待て那月お前力加減ってもんを考えて、ぎゃー!」
「何ですかぁ翔ちゃん?
あっ翔ちゃんも一緒に遊びませんかぁ?」
「ばっ離せ那月くっ苦し・・・!」
「おい四ノ宮、来栖の意識が遠のきかけているぞ!?」
「えっあ、ゴメンね翔ちゃん・・・!」


咲の言葉をきっかけにわーわーと一気に騒ぐ事になった光景にトキヤとレンは苦笑しながらそれを見つめるのだった。

+おまけ+

「そういえばハニーはいつまで帰ってこないんだい?」
「誰がハニーですか、張り倒しますよ」
「(・・・ハニーが絡むとイッチーの口調が暴力的になるのは相変わらずか・・・)
冗談だよ・・・でいつなんだい?」
「・・・一週間後ですが」
「一週間ねぇ・・・イッチーそれまで保てる?」
「・・・・・・・・・」


企画ページを見ててネタの神様がふと降り立ったので書いてみました。
久々の小話でしたがやっぱり楽しかったです。
そして又もや主人公不在の件。・・・スミマセン。
でも我が家のトキヤは一週間主人公無という生活に耐えられるのかな、と思ったのですがやはり耐え切れなさそうです(笑

20130211(20150329再録)