花雪シンフォニア | ナノ

後日談。
早乙女学園男子寮にて。

「ああああトキヤー!!全く連絡もしないで何処に行ってたんだよ!?俺ずっと待ってたのに!」
「・・・すみません音也。心配を掛けた事は謝罪しますが、・・・やり過ぎです」
「え?」
「っ電話ですよ電話!
一体何回電話をしたのか、貴方数えましたか!?」
「え、えー?俺そんなにかけたっけ?」
「・・・一晩で約三十件近く電話をしたのを覚えていないとは、貴方本物の馬鹿ですか?」
「ちょ酷いよトキヤ!!
俺は純粋にトキヤの事を心配して・・・・・・・・・あれ、トキヤ何かあった?」
「え?」
「何か出かける前と比べると凄く吹っ切れたような感じがするんだけど・・・」
「(相変わらず変に鋭いですねこの男)
・・・いえ?何もありませんが。
仮にそうだとしても貴方には関係ありません。それでは」
「ええええトキヤー!?
まだ話は終わってないよー!?」


(羽島さん・・・否、平和島さんとの事をそう簡単に話す筈が無いでしょう)


歩き出したトキヤの表情は音也の指摘通り、何処か吹っ切れたような、それでいて穏やかな表情だったのだが、それをトキヤに指摘する者はいなかった。



  ♂♀



池袋某公園にて。

「栞、あれから何も無かったか?」
「(・・・あったと言ったら多分一ノ瀬君死ぬだろうな・・・)大丈夫だよ。
彼も芸能人だし何より病人だし兄さんが心配するような事を考える余裕なんて無かったんじゃないかな」
「・・・嘘、じゃなさそうだな」
「・・・私の顔色を判断出来るのは多分兄さん位だろうね」
「俺の力を見ても最初から平然としていられるのもお前位だろ」
「・・・・・・・・・そうかな」
「そうだろ」

彼女が返答する前の何秒かに実は(そんな訳無いです最初から今この瞬間まで兄さんの力に絶叫しなかった日は無いです、なんて言えない・・・!)と内心で葛藤していたのだが勿論静雄はそれを知らない。

  My Dearest

これにて第7章は終了です。気が付けばもうこんなに話数が増えているとは。
そろそろラストスパート。もう少しお付き合い下さいませ。

20131107