「今日は話題の美少女と仕事よ幽!
気合入れていくわよー!」
「・・・・・・はい」
卯月さんのテンションが高すぎて着いていけない・・・。
栞は徐に返事をすると同時に立ち上がる。
相も変わらず無表情である彼女に本当にモデルなんて出来るのか、と思ってしまうが何故か撮影になると表情豊かになる。
一体彼女の表情筋やらはどうなっているのか、永遠は未だに首を捻る謎である。
♂♀
目の前にいるのは自分と同業者の女の子。
軽く癖のある金色の長い髪。
冬の朝の様に澄んだ空色の瞳。
気が強そうな印象を受ける顔立ち。
160cm位だろうか、自分よりも小さく顔立ちから察するに15〜16歳位といった所か。
プロフィール非公開、無口、モデルという事で共通点が多い自分と彼女を敢えて同じ仕事をさせる事で売上率を更に伸ばそうという魂胆なのだろう。
栞は内心そんな事をぼんやりと考えながら目の前の人物―――小傍唯と軽く挨拶をする。
挨拶といってもほんの一言二言位だ。
「初めまして、羽島幽です。
今回は宜しくお願いします」
「・・・此方こそ宜しくお願いします」
片や無表情、片や僅かに勝気そうな声音で挨拶を見ていたスタッフは殺伐した空気を感じたのだが二人はやはり気付かない。
小傍唯はちょっと生意気な目をした美少女モデルとして人気を誇っている。
なので何処からどう見ても先輩の羽島幽に下克上するぞという意思表示をしているようにしか見えないのだ。
羽島幽は気付いているのかそれとも気にしていないのか。
どちらにしても羽島幽の無表情は一切合切崩れていないのが怖い。
「羽島さん、今日の衣装なんですけど今良いですかー!?」
「はい今行きます」
「唯ちゃーん!貴方はこっちよー!」
「はい!」
そんなこんなで始まったモデルの仕事。
無事に終えられるのか、それさえも分からない。
意外に多い共通点
あまり話が進まないなぁ。
第6章はさくっと終わらせたい。
20121115