花雪シンフォニア | ナノ

一ノ瀬君(仮)に続いて次に会ったのは乙女ゲームのヒロイン。
・・・これ一体何のフラグなのか、誰か教えて下さい。


「あああああの!」
「・・・はい」
「も、もももしかして」

PiPiPiPi

『・・・・・・・・・・・・』

七海さん(仮)が何か言おうとした瞬間、鳴り響いたのは私の携帯。
無言で携帯の画面を見るとルリさんからの電話で。
時計を見ると集合時間を5分程過ぎていた。

「・・・・・・・・・」
「・・・あの、私に構わずどうぞ電話に出て下さい」
「・・・・・・すみません」

七海さん(仮)に断り携帯を操作して電話に出ると案の定ルリさんは焦っていた。
場所を伝えるとすぐに車で向かってくれるらしく、この場で待機に。
・・・・・・さて。

「・・・話の途中、遮ってすみません。
それに巻き込んでしまって・・・」
「い、いいいえ!大丈夫です!
そ、それよりもあの羽島幽さんですよね!?」
「はい」

あれだけの騒ぎになったんだから、そりゃバレるか。

「わ、わわたし七海春歌と言います!」
「・・・羽島幽です」

本名じゃなくてすみません。
・・・いやいやそうじゃなくて何で此処で自己紹介?

軽く首を捻りながらも釣られて自己紹介してしまった私もどうかと思うけど。
・・・とりあえず。


「・・・いつまでも座っていたら身体が冷えるので立ちましょうか」


季節は冬になりかけの11月。
コンクリートの上に座っていた私達だが流石に冷たくなってきたので立ち上がる事を促す。

「え、あ、はいっ」

戸惑いながらも返事してくれた七海さんが立ち上がろうとした瞬間、痛みに歪んだ表情を浮かべた。

「・・・・・・っ!!」
「もしかして怪我をした?」
「い、いえ!そんな事・・・!!」
「・・・・・・」

さっき尻餅をついていたから多分あの時か!
だとしたら・・・。

「・・・・・・足?」
「っ!」

当たりか!
七海さん嘘を吐けなさそうだもんな・・・。

栞は内心で自分の失態に後悔した。

えーとどうすれば良いのこの場合ッ!
あーもう人様に怪我をさせてしまうなんて私の馬鹿ー!
否、とりあえず私がこの後とるべき行動は・・・!

「・・・七海さん、この後の予定は?」
「え?と、特にありませんが・・・」
「・・・・・・そう」

じゃあ問題は無いかな!
もうそろそろ卯月さん達が到着するし車の中で手当てをさせて貰おう。
よし言うんだ自分!

自称チキンの栞は自身を奮い立たせ言葉を放った。

「じゃあ貴女の時間を僕に下さい」
「・・・・・・・・・え?」

・・・何言ってんの自分!?
言い方が可笑しいよ、此処は「私が原因で怪我をさせてしまったから手当てをさせて下さい」でしょ!
ちょ時間を巻き戻して下さい頼むから!

  その出会いは偶然か必然か    

主人公は傍から見ればただのタラシであるという事実。
・・・可笑しいなこんな筈ではなかったんだけど(汗

20120728