「流石の羽島幽も取り乱すんじゃねーか、この企画・・・」
翔は新聞のテレビ欄を片手にテレビを見つめ、苦笑する。
冬の空の様な、澄んだ空色の双眸を羽島幽がターゲットのドッキリ企画に目を向けていたのだが、時間が経つにつれ、徐々に翔の顔が引き攣っていく。
「・・・ちょ、え、は!?」
眉一つ動かさずに躊躇無く自分の小指を切断しようとする幽の姿に、言葉にならない声をあげる。
この日、この瞬間をもって翔の中で羽島幽に対する何かが変わったのを、幽こと栞は当然の如く知る筈も無く。
2.一ノ瀬トキヤの場合
HAYATOの仕事を終え、自宅に戻ったトキヤはテレビを付けると、其処には偶然羽島幽が画面に映し出された。
次いで其の内容にトキヤは沈黙し・・・絶句した。絶句するしかなかった。
「・・・・・・・・・・・・・・・」
自分の口元が、頬が、引き攣っているのが分かる。
有り得ない。何がって色々だ。
眉一つ動かさない事もそうだが、仮にも芸能人である自分の身を簡単に傷物に出来る其の性格というか、精神というか、行動力というか、決断力というか。
「・・・・・・いえ、其の前に貴女は女性なんですよ、何やってるんですか・・・・・・」
思わず自分以外誰も居ない空間で一人呟くトキヤ。
会って話したのは只の一度きりであったがトキヤは何となく彼女は自分に無頓着な人間なのではないかと思っていた。
しかし、其の予想がまさか、こんな形で当たるとは。
先程の映像にトキヤは思わず現実逃避をしそうになった。
「・・・全く有り得ませんよ、色んな意味で・・・」
一言呟いたトキヤの表情は、何処か苦笑いにも似ていた。
そのとき、彼らは 其の弐
第4章のおまけ編 其の弐。
今回は翔&トキヤ。
個人的にトキヤは最後にとっておくべきかと思ったのですが、話の内容とキャラを考えていたら何故かこうなった。
今思えばこのコンビって何か通称があった筈。
何だったっけ・・・。知っていたら教えて下さい(汗
次回で第4章終了です。
20120607