其の日、丁度テレビを付けていた真斗の目に飛び込んできたのは女優として駆け出し中の羽島幽のニュースだった。
「なっ・・・!?」
日本を代表する大財閥の一つ、聖川家嫡男として恥ずかしくない様に、又いつか必要となる経済学等を学んでいた真斗にとって自分と殆ど歳が変わらない女性が一代で12億という大金をたった一月足らずで稼いだ事実に茫然自失としていた。
「・・・・・・凄いな彼女は・・・・・・しかし一体どうやって・・・」
真剣に其の方法を考え始めた真斗だったが宝籤という存在に辿り着けず、無駄な時間を過ごす羽目になるのだが幸福にも彼が其れを知ることは無く。
2.四ノ宮那月の場合
那月はテレビを食い入るように見つめ、感嘆と興奮が入り混じった声で空気を震わせた。
「凄いですねぇピヨちゃん。
この羽島幽さんて方、一ヶ月で12億も稼いだそうですよぉ」
那月は朗らかに笑い、其の笑顔をピヨちゃん―――ヒヨコのぬいぐるみに向け抱きしめる。
「僕がそんな大金を稼いだら何に使いましょうか。
やっぱり可愛くて小さいモノをいーっぱい買いたいです!
ねっピヨちゃんもそう思うでしょ?」
まるで彼の周りに沢山の花が咲き乱れているかのような錯覚をもたらす笑顔を那月は惜しみなく浮かべていたのだった。
そのとき、彼らは 其の壱
第4章のおまけ編 其の壱。
公式でも他の素敵サイト様でも同室組で分けていますが、敢えて全く関係無しで組み合わせて見ました。
とりあえず此処からは彼らの反応とは?がテーマ。
真斗が宝籤という存在を果たして知っているのか、と思いながら書いていました(遠い目
こんな感じで後二話続きます。
20120521