冬を越す揚羽の蛹
枯れ葉のような殻に身を包み
その繊細な皮を薄い刃で裂いたなら
きっとどろどろの中身が溢れ出す

羨ましい
私も蛹の服が欲しい
見えない空気のようにそれを纏い
どろどろの自分を守るのだ

空気の蛹なんて
まるで裸の王様ね
胎児を覆う胞衣(エナ)のように
外界を呼吸する媒介としての服

鳥の糞みたいな姿から天鵞絨(びろうど)の羽に変わるため
どろどろの状態があるの
でも私は羽化しなくていいわ
どろどろの自分を包み幻の現実を歩いていくの






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