「だからね、あの子は化け物なんですよ、園長!私達の施設ではもうあの子を扱い切れません!!さっさと他所の施設に移すなり何なり」「またれい!くそばばあ」
小さな両足が揃って、彼女の背中に強烈な蹴りを食らわせた。
今の今まで隣で聞き耳を立てていた少女が居なくなっていることに、そこでやっと気が付いたリドルは頭を抱える。
(あいつ、ほんと何やってんの)
「ごめんなさい!せんせい!」
「ぐっ、痛…っっっnameちゃん!!!あなた自分が一体何をしたのか」
「くそばばあって言っちゃって」
「そこじゃないわよ!!!いやそこもだけれども!!」
「だってせんせいがリドルをバケモノなんていうから!リドルはバケモノじゃない!園長せんせい!」
ああ、nameのこの叫びを、僕は何回聞いたかな、
「リドルをどこか、っ遠くへやらないで!!」
「ごめんなさい」
三人の視線が僕に向く中、なんでもないような顔をしてnameの手を取るのは、少しだけ難しかった。
「こいつは、頭が悪いから」
「……分からないんだ」
「僕といると、周りにどう思われるかとか……ぼくは分かってるけど、――分かってるのに、いたいんだ」
ごめんね、name。
僕が震えていたのか、nameが震えていたのか、手を握り合っていないと崩れてしまいそうだと思った。
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