ロンドンのとある孤児院は、今日も今日とて、騒がしかった。


「うおおおお!」
「よらないで。」
「ぺぎゃっ」

容赦のない突っ張りによって尻餅をついたのは、ふわふわとしたブロンド髪の少女。少女は自分を突き飛ばした、黒髪の少年をキッと睨みあげた。


「この変態!いまおっぱいさわったでしょしね!」
「何で僕が君のおっぱいさわんなきゃいけないの」
「だってあたしかわいいから」
「しね」
「あ!ちょっとどこ行くの!リドル!」


少年の名前はトム・リドル。ミドルネームは、マールヴォロだ。トム・マールヴォロ・リドル。――彼は人にはない不思議な力を持っていた。


「ねー!明日はハロウィンパーティーだよ!」
「それがなに」
「二人で協力してさぁ、この施設のお菓子根こそぎ奪い取ろうや」
「何で僕がそんな強盗みたいなことしなきゃいけないの」
「だってあたしかわいいから」
「もう煩いんだけど」
「ほぎゃ!」


少女の身体が一瞬ふわっと浮上し、しかし重力に従ってすぐに地面に落下した。お尻のあんまりの痛さに暫くの間悶絶していた少女だったが、やがて目を吊り上げて怒りだした。

「ねー!!あたしにその変なちから使うの止めてっていってんじゃんか」
「使ってないよ、ばかだな」
「このうそつきチビ!」
「君の方が2センチもチビだ」
「おしりいたいよ!」
「おだいじに」


スタスタと歩き始めたリドル。少女は不貞腐れたように座ったままだ。
「…」
リドルは足を止めて、溜息をひとつ。爪先の向きを変えて少女の座り込んでいるところまで戻ると、両手を差し出した。


「いつまでも座り込んでないで。」
「…」
「ばかname」
「あほリドル。」


少女、nameはリドルの両手を掴んで体を起こした。
さっきの不機嫌さなどはどこへやら。明日のハロウィンパーティのことについて一生懸命話し出すnameに、リドルはいつも通り適当な相槌を返す。


二人は、幼馴染であった。
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