ヤマトさんが勢いよく腕を引く。軽く押されて後ろによろめいた私の目と鼻の先を、何かがヒュッと通過した。
――スパァッ!!
「っき、いぎゃー!真っ二つ!!」
「チッ」
果物のようにスパッと割れたカウンターのあちら側でヤマトさんがキレる。
「オイてめー!!店ぶっ壊すなっつったばっかだろうが!!」
「俺に命令するな。
斬られたいのか。」
「……あ。」
ローさん。
「………お前も、こんな所にノコノコ来んな」
「…ローさん」
ローさんだ。今私の前で、長い刀を持って立っているのは間違いなく、ローさん。
(…変だな)
何年も会ってないわけじゃないのに、
「変な野郎に狙われやすい自覚を持て。毎回助けるのは俺だぞ」
「ローさん…」
「聞いてんのか。」
「………ローさん」
「なん」
ぎゅっ
「……私を切り捨てていい、なんて、うそですから」