腹が減った。何か作れ。

トラファルガーさんのそんな横暴かつ自分勝手な発言をしかし私は二つ返事で受け入れます。何故なら、彼がそう、怖いから!(ドーン)自分で言ってて悲しくなってきた。

「……おにぎりで、いいですか」
「何でもいい」
「かし、かしこまりやした!」
「毒盛るなよ」
「どっ…!盛りませんよ!」


必要以上の威圧感を与えてくるトラファルガーさんを部屋に残して階段を駆け下り、かけた。いやちょっと待って。彼一人あの部屋に残すのはまずい。色々物色されそうな気がする。あの部屋には見られちゃいけないものが山ほどあるんだ。小学2年生の時につけてた交換日記とか、食べかけのスルメパックとか下着とか!
本当に怖くて嫌だけど、トラファルガーさんも居間に招こう。くるりと方向転換して、今しがた駆け下りた階段をまた上った。部屋の取っ手に手をかける。


「あの、とらふぁる、ぎゃひー!もう遅かったぁぁ!」
「お前、もっと色気があるのを穿いたらどうだ」
「ぎゃー、ぎゃー!ほっといてくださいよ!!」

トラファルガーさんの手から(彼曰く色気の無い)自分の下着を抜き去って、タンスに突っ込んだ。もううう非常識にも程があるよ!軽く涙目になりながらの悲鳴じみた抗議はほとんど流された。会って数分の男の人にプライバシーの核を晒された。

「くく」


だけどやっぱりイケメンさんだけあって笑った顔は素直にかっこいい。だけどだからって何しても許されると思うなよこの野郎!もちろん口にも顔にも出さない。怖いからだ。

「飯」
再促される私。
「ただいまァ!」
哀れ。

学習した私は、今度はちゃんとダイニングへご案内したのだった。

***
今日は土曜日だ。
そして明日は日曜日。
そうすると嫌でも巡ってくる月曜日には、私は学校に行かなければならないわけで。

(それまでにこの人をどうにかせねば…!)


「あのう……」

私はソファにふんぞり返ってもぐもぐとおにぎりを食べているトラファルガーさんに話しかけた。


「トラファルガーさん、一体どういう経緯で私のベットに……?」
「俺が知るか」
「あ、ですよね、すいません!」

会話終了。これから一体この人とどう接していけばいいんだ。神様の、バカヤロー!すいません謝ります。だからこれ以上バチ当てないでお願い。

「心配するな」
「え?」
「当面の生活費なら、ほら」
「…」

トラファルガーさんが出してきたのは見たことのない紙幣と金貨。銭というかドルに近い感じだ。

「……使えねぇか」
「……使えませんね」

ダメもとだったらしい。




変な感じだ。

激しい人見知り。諸々に対して恐怖心旺盛な自分が、今朝あり得ない状況で出会った怪しい人物に朝食を作ってあげたなんて。

「うまかった」なんて台詞を聞いたのも
二人分の食器を洗うのもずいぶんと久しぶりだ。


「トラファルガーさん、お茶どうぞ」
「………"トラファルガーさん"ってのはやめろ」
「えええ…!」


じゃあ親しみを込めてトラさんとでも呼べと言うのか…!無理だ。チキンな私はそんなことできません!

「ローでいい」
「ロー」
「…」
「………さん」

ごめんなさい。そんな残念な目で見ないでください頑張った方だと思うよ、私はこれでも一生懸命やったんだから。
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