「試合、次の土曜日ですって」
七瀬さんからの情報を与えたところでローさんはあまり聞いてないから意味が無い。

「あ、ローさん先帰っててください」
「あ?…どっか寄るのか」
「はい」

ローさんに逆パカされた携帯の修理が終わったらしい。ショップから連絡が入ったのだ。そう伝えると少し考えたのち、ローさんは一緒に行くと言い始めた。

「でも、この時間帯きっと混んでますよ」
「安心しろ。今の俺には刀が無い」
「あったら斬ると!」
「かもな」

ニヤニヤしながら先を行くローさんを慌てて追いかける。その時、ローさんの持つ鞄できらりと何かが光るのが分かった。

「あれ、それなんです?」
「あ?…ああ、貰った」

愛らしいクマのキーホルダー。その時は特に何とも思わなかったが、後から思えば疑問だ。ローさんの趣味をちゃんと心得ている知り合いなんて、周りに居たっけかな。

「こちらになります」

手渡された携帯をお礼を言って受け取る。
ああ、おかえり相棒!君がいなくてさみしかったよ!
私の心の叫びを知ってか知らずかローさんが冷めた目を向けてくる。…JKにとって携帯は必須アイテムなんですからね!もう!

「……」

そこで私は、ローさんがあるブツに目線を送っているのを見つけた。…もしかして。

「確か、コレ持ってると連絡が取れんだったな」
「ほっ欲しいんですか!?」
「ああ。」
「そ、そんな、しかもアレ??」
「まずいのか」
「まずいですよ!あ、あたしだってまだパカパカ……あ」
「…」
「…」


失言だった。
頭の良いローさんの事だ。もう数秒もすれば…

「成程な」

時代の最先端をいく携帯機器。画面タッチであれからこれまで何でもござれ!なスマホ携帯。
実は私が欲しい。
そんな気持ちを汲み取った末にローさんはそれを手に取った。Sだもの。きっとそうすると思ってたけど…!

「これに、…」

チクショー先越された!
がっくし項垂れかけた私だったが、ローさんは言い終える前に口を閉ざした。その視線の先には、別の携帯があった。

***


「ほんとーにそれで良かったんですか!?」
「ああ」
「い、いまの時代は人差し指でサッサカサーですよ?」
「しつけぇ」

結局ローさんが選んだ携帯は私の色違いの機種だった。何故それにしたのかは分からない。使い勝手を知っていたから、というわけでもなさそうだ。
「…」
まあローさんの事だから深い意味は無いのだろう。
私はあっさり片付けて、頭を夕食の事に切り替えた。隣のローさんが満足げに青い携帯を眺めている事も気付かずに。

(おいなまえ…。コレどうなってる、画面が真っ赤だ)
(ひい!なぜそんなことに!いつ毒くらったんですか!)
(とりあえず斬るか)
(あかんんん!!)
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -