彼の名前はトラファルガー・ローというらしい。
日本ではあまり聞かない名前だ。……外人さんなのかな。
さっきは恐ろしさや怖さや恐怖のせいで直視できなかったけど、よくみればなかなかの美人さんだ。男の人に美人さんって使うのかな……。ここはやっぱりイケメンさんと言うべきか。
「おい」
トラファルガーさんは人をも殺せそうな視線を私に投げつけながら口を開いた。
「つまりこの世界にはグランドラインも無ければ海賊もいない。……そういうことか」
「……ええ、そのう……あなたのお話を聞く限りでは、はい。海賊ならいなくもないですけど…もう殆ど絶滅したんじゃ…ひいい!刀!刀ごめんなさい!」
「……何がどうなってる」
それはこっちの台詞だ。
でも、とりあえず今日が土曜日で良かった。ゆとり教育よありがとう。
「とりあえず、その……トラファルガーさん」
思考を邪魔したのがまずかったのだろうか。すごく睨まれたあげく、あ?と凄まれてしまった。ちびるかと思った。
「怖すぎる……あの足が、足が痺れたので、正座止めても良いですか」
「…」
***
私の名前はなまえと申します。懇切丁寧に述べて頭を下げた。正座を崩す許可は頂いた。わたしの家だけど。
「事の成り行きが読めるまでここに住まわせろ」
「!」
ここに!?イヤです嫌ですごめんなさいでも嫌なんです!ラブ&ピースで平凡をこよなく愛すわたしの何事もないノーマルな生活が…あなたのような非平凡的なひとによって崩されるのは困るんです!
「わ、わたし持病のコレラが…」
「何だ」
「文句ないですもちろん!どうぞごゆっくりなさってください、ぐすん!」