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『優勝、エントリーナンバー21番。エドワード&サリーです!!』

歓声と拍手が巻き起こる、紙吹雪の散る仮設ステージ。その上でトロフィーを受け取ったエドワードはその重みにじっと感動を噛みしめていた。

始めは、ただサリーが参加したがっていたからという理由でこの大会に臨んだ。
愛は本物だと断言できるが、正直、優勝できるとは思っていなかったのも事実。なにより、悪の噂が絶えないジェイダー・クラウンの姿を、一目見ておく必要がある気がしたのだ。

しかし、この大会は思わぬことの連続だった。


海賊、ユースタス・キッドとの遭遇。
―――「あっきれたー!戦争に情け容赦なし!綺麗ごとだって畳まなきゃ、いつまでたっても勝てないよ!」

―――「いくら霧が濃かろうが、目が潰れていようが、俺にはそんなの関係ねェんだよ」
「全部、ブチ壊してやるぜ」


―――「エドワード!」

自分の弱さのせいで、愛しい者を危険に晒した。



―――「なぜ助けた、なんて言わないでね。敵の敵は味方なんだから!」

―――「そこを動くなよ、海兵」

敵である人間に命を救われた。





「サリー」傍にいる彼女を引き寄せる。
「この大会で、新しいことを学べた気がする。……参加できて良かった」
「ふふ」
「賞品は、彼らと半分に分けたいんだ」
「ええ、エドワード」
私もそれがいいと思うわ。微笑んだサリーの手を握り、エドワードは頷いた。この大会で彼女達と出会えて良かったと思っている自分がいることを、海兵の自分はやっと認めたのだった。


『それでは、エドワードチームに優勝賞品を!』
ドラムの音が響く。
僅かな沈黙、に続いたのは慌ただしい数人の足音だった。
『――――……何だって!?優勝チームに贈られる5000万ベリーがなくなっている!?』


司会のマイクから会場いっぱいに響き渡った焦り声が物語る事実に、会場は騒然とした。
それとほぼ同時に、参加者の一人が競技場を指差して『アーー!』と驚愕の声を上げる。指差された方向を見上げれば、競技場と隣接する建物のバルコニーに人影。

「……くそ、やられた。」

重たげなコートを風にはためかせ、逆立てた髪の毛をゴーグルで抑えつけ、遙か高みからこちらを見下ろすその男は、―――何故一瞬でも失念していたのだろうか。彼らは、

「ユースタス・"キャプテン"・キッド」

彼らは、海賊だった。

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