ドッキン


「あ、そこらへん座ってろ」

「は、はははははっははい!」

ドッキン

ドッキン


お、女なまえ十八歳冬!生まれて初めて「カレシノヘヤ」という未知の領域に足を踏み入れました…!!ここからはこのなまえが生中継でお送りします!

「お送りすんじゃねェよ」

「はぶっ」

後頭部に冷静なチョップをお見舞いした彼、ユースタス・キッド先輩。
正真正銘、私の彼氏です。

「あ、声に出てましたか。」

「バッチリな」

「すいません。緊張しちゃって」

「テメェらしくねェな」

そう言ってニヤリと怪しく笑う先輩。くそかっこいい。

「すいません。今から本気出します!」

「いや俺的に今のままで、って何してんだテメェコラ」

「え?…」

「何で俺のベッドの下に頭つっこんでんだって聞いてんだよ」

「やだ先輩!彼氏の部屋に来たらエロ本探すって…セオリーじゃないですか!」

「どこの世界の常識だ!止めろバカ」

私はしぶしぶ頭を出す。
すでにツッコミまくっている先輩を見上げて一言。

「なかった。」

「ねェよそんなとこには」

「………ここ以外のどこかにあるんですね。」

「。」


なんてやり取りも経て、今はようやく二人ともコタツに落ち着いている。
キッド先輩の部屋ではベッドとコタツとテレビが大部分を占めているのだ。(ちなみこたつは勉強机もかねているから、机はない。)

わたしの知る先輩はいつも学生服だから、私服姿の先輩はちょっと新鮮。

「…んだよ。」
ぼうっと見つめていれば、テレビに視線をやっていた先輩がこちらを見た。

「いや……いつにも増して美形だな。と」

「あ゛ぁ?…気色悪ィ」

「照〜れ〜て〜る〜」

「ブン殴るぞ」

ぶん殴るとか言ったのに、コタツの中で先輩に蹴られた私。
でもいつもに比べたら全然優しいスキンシップだ。なんだこれ。なんで優しいんだ先輩。人目がないからかな。なんにしても胸キュン。

「…」

私はふと、先輩の右側の空いたスペースに行きたくなった。
――心の赴くままコタツにもぐってそこを目指せば、あたたかいオレンジ色の世界で、あるものが目に留まった。…私の心に芽生える愛しさ。



「…」

「うお!何だテメェ」

「…こんにちわ」

「何ニヤついてやがる…気色悪ィ」

もそもそとこたつから出て、そっと先輩に寄り添った。
キッド先輩は「ふざけんな」「狭くなったじゃねェか」とぼやいていたけど、私を追い出そうとはしなかった。それはそれで嬉しい。

「先輩。私、先輩のこと好きですよ」

「…!!」

「かっこいいくせに変なとこ可愛いから好き。もう先輩のるつぼです。」

「な、何だよ…急に」

「ふふ、あのね。」




こんなちっぽけなことで、胸がとくとくいっちゃうんだから。
あたしとっても重症ですね

(あ、急いで確認して脱ぎ捨てる先輩もすき!)
(…っせぇよ)
1060000hit キッドとカップルの日常
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