とりあえず僕の友人なまえの話をしようと思う。彼女はマグル界のニホンって島国の生まれらしい。東洋人らしい顔つきは実年齢より3歳ほど彼女を若く見せる。日本人の特権だイヤッフーとよく言っている。非常に馬鹿っぽい。僕と競えるのは友人の数くらいだ。僕の場合それは建前の友情だが、彼女にとってそれは人生の宝らしい。無駄に社交性がある。僕はどんな成り行きでか、そんななまえとよく行動を共にしている。


「やー、リドル君や、今日もまた暇だね」
「勉強でもしたら」
「そんな事したら私頭爆発するって」
ボフン!!!
見覚えのある白い煙が彼女を包む。なんだこれ。「爆発」のワードのに反応でもするんだろうか。そんな事を思いながら立ち上がり、白い煙に目を凝らす。

「ぶはー!まさかこんな反撃に会おうとは…ヴォルも中々」
「し。こっち来て」

この前は時間が時間だったし談話室には僕らしかいなかった。でも今日は違う。突然舞い上がった煙に寮生たちが驚いている間に、リドルは煙の中の手を掴んでさっさと談話室を出た。


「あ!また会ったね、リドル」
「…一昨日ぶりだよ」
「いやぁ、返すの明日だからもう一回ヴォル…未来の君に使ったろーと思ったんだけど」
「反撃されて自分が来ちゃったと」
「まあそんなとこ」
「僕が同じ手にかかるわけないだろ。バカだな」
「ははは、しばくぞリドル!」
「何?」
「いひゃいいはい、ごめんなはいゆるひて」
「仕方ないな」

ほっぺを離してやると、ちえっと唇を尖らせたなまえは階段に腰を下ろした。すぐ不貞腐れるところも、今と全然変わらない。
リドルは少し笑ってなまえの隣に腰かけた。


「年下のくせに生意気なんだから」
「僕は僕さ」
「…そうだね」
肩をすくめてなまえも笑う。気付かれないように、横目で彼女を眺める。
――変わってないとは言ったけどそりゃ多少は違う。顔も当然大人びているし、髪はだいぶ伸びた。

「…5分だったよね」
「え?」
「君がここにいられるの」
「あ、うん。そうだよ」
「…一つ聞いてもいいかい?」

5分しかないんだ。この前は聞けなかったことがたくさんある。一番僕が聞きたいのは、ひとつだけど。


「君は、どうしてずっと僕の傍に」
「リドルー」
「…ちょっと。何するんだ」
「照れんなって」
「照れてない」

なまえは僕の首に回した腕に少し力を込めた。なぜか僕は引き剥がす気が起きず、そのままにしておいた。10年後の大人びたなまえは耳元で笑った。
「楽しいよ、私」
「…」

「昔も。…――今もね」

なまえの言わんとしている事が分かって、僕は肩の力を抜いた。ボフンっと視界が白くなる。
(…まあ、今はその答えで満足してあげるよ)
僕は一回り小さくなったその存在を、気にせずに抱きしめたのだった。


10年後にまたね、


「うわあああ、ちょ、何どうしたのリドル!」
「煩いな」
「え、え、何この状況!?ま、まさか…オイコラリドルゥ!お前未来の私に何してたんだぁあ!」
「煩いな。君から抱き着いて来たんだよ」
「!!!」
「煩い」

644446hit 未来のヒロインが現れた/リドル
×