「やばいよーキッドー…わたしノイローゼになりそうです」
「そんな血色イイ面して何言ってやがる」
「キッドなんか唇真っ赤だよどーしたの」
「いつもだろうが」

お互い机に突っ伏しながらボソボソ会話する私達って正直異常だ。でも憔悴しきってるんだから仕方ないよね…ウン。

「やれることは…やったよね」
「…ああ」
「受かるかな」
「さァな」
「…」
「…おい」
「ぐす」
「な、何泣いてんだよ」


キッドがガタリと起き上がるのが振動で分かった。でも私は突っ伏したままだ。

「受ける前からメソメソすんじゃねェ」
「泣いてねーし、は?」
「どんだけヘタな嘘だ」
「…やだ」
「あ?」

「キッドと…ふたりで、うかりたいよ」

高校の時、初めて席が隣になった時は正直「何この不良こわっ」とか思ったけど、でも話してみたら意外にいいやつで。趣味も意見も何かと同じだったから気が合って、3年間ほとんど一緒に居た。大学に入ってからだってそうだ。


「…ばァァか」

ペチン、頭を叩かれる。

「痛い」

嘘だ、あんまり痛くない。

「…受かるに決まってんだろ」
「…ん」
「あんだけやったんだ!自信持て」
「だってさっきは『さァな』って」

私もつられて顔を上げる。私の顔を見てキッドはブッと吹き出した。
「ブッハハ、何だテメェその顔!」
「な!失礼な」
「お前の泣き顔は見れたもんじゃねェ、昔から言ってんだろうが!」
「むううう」
「ほら」

キッドは私にむけて拳を差し出した。そして口端を上げて、昔から変わらない企んだ様な笑みを浮かべた。


「受かろうぜ…、二人でよ」

それを見て私も肩の荷がいくらか降りた気がした。

「……おう!」


ごつん
ぶつけた拳から、私はキッドのパワーをわけてもらった事になるけど

(まあ、キッドは体力だけは無尽蔵だし…いっか)
(オイ待てそれ誰が決めた!コラ!)

485000hit 就職試験間近なふたり/キッド
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