わたしの今日の予定

@マリンフォードでやる七武海の会合に出席するらしいクロコダイルさんに会いに行く
A求愛とかプロポーズとかいろいろする
Bあわよくばアハンな展開に持ち込む
C夕方6時までにお家に帰って新発売「虹色キャンディ★」を食べる
D9時就寝


「どうですかスモーカーさん!今日の私の予定!」
「これを俺に見せてどうしろと言うんだ」
「字に間違いがないか確認してもらおうかと思って」
「字より内容がおかしいだろうが!ツッコミどころが山の如しだ」
「たとえば?」
「…"アハンな展開"に持ち込んだら6時には帰れねェ。9時就寝も無理だ」
「!!!」
「ほんとバカ。あとテメェ海賊だろ。なんで海軍本部(ココ)に来てんだよ」
「愛ゆえ!」
「もう疲れた。」


スタスタと歩いて行ってしまったスモーカーさんを見送って、わたしは廊下をあっちへふらふらこっちへふらふら彷徨った。――クロコダイルさんどこかな?しかしこの前会った時は「付いてくんな、ストーカー女」砂嵐!その前は「ミイラにするぞ」でやっぱり砂嵐!だったんだけど、もしかしてクロコダイルさんあたしのこと嫌い?やっべ、そんなバナナ


「一気にションボリモードだわ。あーあ」
「フッフッフどうした嬢チャン?」
「フラれた。告白してないけど」
「じゃあ俺が手取り足取り慰めてやろうか」
「うわ!!」

誰!誰やねん!
私はピンクのふっわふわを見上げた。…でか!


「どどど!どち、どちらさまですかセクハラ野郎!」
「オウオウ、言ってくれるじゃねェかァ?」
「ごめんなさい!」

俺以外の男と話すなってクロコダイルさんに言われてるので(夢の中で)!と言い捨てて逆走を決め込む私の足は突如動きを止めた。
なんだこれ。何の呪い?さっきスモーカーさんと話したから夢の中のクロコダイルさんが怒っ…!?いやいや違うんですよアレは!スモーカーさんは、ほら!煙だから…


「成程。ヘェ、お前があの鰐野郎の…」
「な、なんですか…顔近いですよ」
「フッフッフ。でも逃げねェってことは嫌じゃねェんだろ」
「ちがっ!あ、足が動かなくて」
「足が?そんな面白い話があるかよ」
「嘘じゃないんですけど!」


なぜか数センチの距離まで近付いてきたサングラスの男。それというのに私の足はさっぱり動かない、それどころか手を突っぱねることすらできない。…一体どうしたことか。
そうこうする間に男の冷たい手がスルリと頬を滑り、唇を撫ぜた。


「あ、の!ちょ…ちょっと?」声がひっくり返った。
「フッフフフ、初々しいじゃねェか。食っちまいてェ」
「!!…んん!」


次の瞬間にはすぐ近くにあった扉が砂に変わり、錆びた鉄格子が頭上を通り抜けた。フワフワの人が心底面白そうに変な笑い声を上げるのと、私の身体がようやく解放されたように動くようになったのは殆ど同時。へたりと床に座り込んだ私が見たのは、鬼のような形相をしたクロコダイルさんの姿だった。うむ…やっぱり格好良い


「オイオイ鰐野郎、イイところで邪魔しやがって」
「…」

無言のまま威圧感を垂れ流すクロコダイルさんが、座り込んだ私の横でようやく口を開いた。


「……あいつに何された」
「え…え?」
「何されたって聞いてんだ!」
「(怖!)あ…あめを」
「あ?」

「飴を、口の中に、突っ込まれました…」



沈黙。

の中でフッフッフと怪しい笑い声だけは止まらない。どうやら爆笑しているらしい…分かりにくい人だ。クロコダイルさんはさっきから固まっちゃって動かな…動いた!睨まれた!カッコイイ!けど怖い!怖カッコイイ!
そんなアホな事を考えていると胸倉を掴まれて一気に立ち上げられた。ぶん殴られるかと思ったら、次の瞬間にはクロコダイルさんと唇がくっついていた。

「ん、んーっ…!(何コレ何コレ何コレ何この神展開!思考回路はショート寸ぜ、プスン)」




「あ?死んだか」
「フッフッフフ…見せつけてんじゃねェぞ。イラつく野郎だ」
「テメェが餌づけなんぞしやがるからだ…。言っとくが」

ぐるぐる目を回すなまえを横抱きに抱え直したクロコダイルは、肩越しにドフラミンゴに振り返るとニヤリと余裕の笑みを浮かべて言い放った。


「――コイツは 俺以外には扱えねェよ」


何せ変態でストーカーだからな。と軽く付け足しながら立ち去ったクロコダイル。ドフラミンゴは意味深な笑みを浮かべてそれを見送った。
ふと、廊下に白い紙が落ちている事に気付く。


「…フッフフフ!やっぱり面白ェな」

だが、残念。
ドフラミンゴはその紙を丸めて外へと投げ捨てた。

「6時帰宅も9時就寝も、たぶん無理だぜ?嬢チャン」
予定変更手続き

469964hit 餌付けされるヒロインに嫉妬する鰐/クロコダイル
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