「わたし、ドラコ君にとっても甘い言葉でお祝いされたいな」 僕の恋人、なまえが誕生日プレゼントにと望んだものがそれである。ほんの一瞬僕の中で時が止まったが、そこはスリザリンの貴公子と呼ばれる僕ことドラコ・マルフォイ。平静を装って答える。 「なんだ、そんなことでいいのか」 そんなこと、って! ――加えてニヤリ 「期待してろ」 期待してろ、って! 馬 鹿 か! 生まれてこの方、甘い口説き文句で女を落とした経験など皆無!(だって奴らは自分から僕の所へ来るんだ!)なまえとだって、好きになったのは僕が最初でも告白は向こうからだったし! 慌てた僕は、魔法通販でソレについての詳細が記されていそうな雑誌や本を買いあさった。なまえの誕生日は明日なんだ!! 「なあ、クラッブ、ゴイル。ドラコの奴は何やってるんだ?」 「さあ…本を読んでるみたいだけど」 「近寄ると怒るんだよ」 『イタリア人風、女性の口説き方』 こんな時真っ先に参考になりそうなのは、女を口説き慣れているであろうイタリア人!!(※個人的な偏見が含まれております) 最期の綱と言わんばかりに参考文書に期待し、1ページ目を開いた。 『君は水曜日だけカワイイの?それとも毎日カワイイの?』 『痛くなかった?天国からおちてきて』 『君の美しさにもう仕事が手につかないよ』 『君は精巧な美の造形物』(※参考資料より抜粋) 吐血。 (……殺傷力が……これは新手のテロ行為、だ) …なまえ、 許してくれ。 やはりぼくには、…… 「………ドラコ!!」 はっと体を起こすと、額に乗っていたタオルがズボンの上に落ちた。すぐ傍には、安心したように眉を下げるなまえ。 「急に倒れたんだよ!?」 「倒れた?なぜ、………!!!」 ベッドの脇、なまえと自分の間に積まれている、ノウハウ資料。 「………」 できることならもう一度気絶したい。 軽く呼吸を止めて硬直していると、視線の先にあるものに気が付いたんだろうなまえがふふふっと柔らかく微笑んだ。 「わたしのお願い、やっぱり少し意地悪だったよね」 「なっ…そ、ぼ、ち、違うぞ!これはクラッブやゴイルに渡して男を磨けと」 「ドラコ、本当はね。……ドラコがあんまりそういう事を言うの、好きじゃないって知ってたの」 おこらないでね、となまえは続けた。 「でも、どうしても一度聞いてみたくて……。ごめ」 「謝るなよ」 怒るなって、怒るわけないだろ。 確かに僕は普段から、好きだとか、愛しているだとか、あまり言ったりはしないけど 「言わないだけでいつも思ってる。それに、――嫌じゃないんだ。もちろん死ぬほど恥ずかしいとは思うが……君に伝えるのなら、苦じゃない」 ぽかんとしているなまえの手を握ってみた。 「笑った顔が、綺麗で好きだ。他の奴らには見せたくない」 「!!」 「いつの間にか一番大切な相手になってた」 「ど、」 「君の一番、頼れる存在でありたい」 「ドラコ、あのっ」 「だから! ………ずっと僕の隣にいてくれないか」 口説き落としてダーリン (……ドラコ、たぶん、ドラコにはこの資料必要なかったね) (…………顔赤いぞ) (ドラコには負けるけどね) 1500000hit ドラコとベタ甘 ×
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