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それは、唐突に。


私は、校門前で友達を友達の彼氏に奪われ、一人いじけてロリポップを舐めていた。
周りは誰も居なく、一人が本当に寂しく感じたので、帰ろうと思い座っていた腰を起こして前を向いたら、居た。
何の足音も立てずに、本当にいつの間にかこの新星学園のアイドルの一人、キッド様が私の少し前に立っていた。
どーんという効果音が似合うほどの仁王立ちでこちらを静かにじーっと見ている。
それに頬がひくっとをなったが、ごまかすようにえ、えへっと愛想笑いをキッド様に返した。
するとどうだろう、ピクッと眉が動いたかと思うとずんずんとこちらに向かって進んできたではないか。
迷いなく目の前に来たかと思うと一言。


「付き合ってくれ」
「……えーと、何処へ?」


そんな答えを出した私を、誰か凄いと言ってください。
理由は簡単、超人気なキッド様からの愛の告白だと勘違いせず、冷静に判断を下したからだ。
本当は咄嗟の判断で「もちろんですっ(はーと)」とか言ってみたかったけど、流石に私みたいな平凡な女の子にそんな事言うはずないよねぇと思い直し、せめて可愛く見せようと首をかしげて聞いてみた。
するとキッド様は俯いて(顔が全く見えない)くるりと踵を返したかと思うと、すたすたと歩き出した。
な、何ごと!?っと思ってあたふたしていると、キッド様がもう一度こちらを振り返り、その場に佇んだ。
あ、あぁー、来いって事ね。やっぱりどっかに行くのかー…どこにだ?
そんな事をを思ってちょっと小走りにキッド様に走り寄る。
キッド様は無言でまた前を向き歩き始める、ちょっ!足はやっ!!!
リーチですかっリーチの長さでこんなにも変わるものなんですか!!くそ、小さいからってなめるなよ!!
必死に大股歩きでがんばったが途中で疲れて、小走り状態に…。
くそぉ、足が長い人種なんて嫌いだっ!
必死に足を動かしながら思った。そして思った事が分かったのかと言うほどのタイミングでキッド様が突然止まった。目の前にまで迫っていた私は背中に顔面をダイブっ!


「わっぷ!!あたた、た?…あ、ごめん!」
「……」
「(無言ですかっ!?)ほ、ホントごめんねっキッド様!!っあ、」
「…、様?」
「(返事してくれた!じゃなくてっ)いや、、えと〜っ;」
「………様はいらねぇ、キッド」
「うぇ!?…き、キッド?」
「あぁ、」
「(わっ!いきなり笑顔って////)っあ、今から何処行くの?」
「…あぁ、……あーっと…ここで良いか、」
「?」


何が?そう聞こうとしたら、凄く真剣な顔でこちらを向いてきたキッド。
その表情に思わず息を飲んで、見つめ合っている状況に。
止まった場所が丁度、校門を出てすぐの大きな木の下であったので暑くはないはずなのに、顔がほてったように熱がこみ上げてくる。
その暑さから、思わず視線がキッドの真っ赤な髪に目がいった。はっぱの間からこぼれる太陽の光を浴びて、キラキラと光って凄く綺麗だ。
そして、キッドがおもむろに口を開いた。


「………なまえ」
「ん、なぁに?」
「俺は、」
「………」
「      」   


その一言と、キッドの表情は…私と大きな木だけの秘密です。


真っ赤

(ねぇキッド)
(何だ?)
(キッドって意外とヘタレだったんだね)
(っは!?んな訳ねぇーだろっ!!!)
(だって、告白して返事した後すぐに鼻血出したじゃん)
(あ、あれは暑かったからであってっ!!!)
(でも、あの時のキッドかっこよかったよ)
(っ!!!/////)
(あ、鼻血……)

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