「サー!お願いがあるの!」

バァンッ、と今世紀最大の勢いと声とある種の気合いを持って開け放った扉の先を見て後悔した。
時よ止まれザ・ワールド!状態から7秒ぴったりそして時は動き出す…「キャァァ!な、なによあんた!」思ったよりうるさかった。

「な、なによあんた!(裏声)と聞かれたら、答えてあげるが世の情k「なまえ」はああい出直してきますううう」

サーの低いお声を頂戴して素早く退散したあたしは素晴らしい。扉もきちんと閉めたしね!
運悪くサーと美女のあはんいやんそこはだめェな場面に出くわしてしまったやっちまったやっちまったオーやっちまったヨー「あら、なまえ。どうしたの?」出直すためにボンちゃんからもらったパツキンカツラでもつけて行こうとしていたところでロビンちゃんに遭遇。

「こんにちわロビンちゃん!今日もいい乳してるね谷間だね!」
「ありがとう。Mr.0はいるかしら?」
「あれ、サーは今にゃんにゃん中だけど、ロビンちゃんも知らなかったんだ。ってことは、サーったら隠れて…?もうっ、遅い思春期だなあ!」
「ふふ、確かに遅いわね」
「ロビンちゃんの谷間いっつも見てるくせにねー。あれかな、反抗期も一緒に来てるのかな」

近くの女には手を出さねー的な素直じゃない感じ?まあとりあえず今はサーの部屋に行っちゃだめなことを察してくれたらしいロビンちゃんと一緒に歩く。お供ばなまえは見た!゙事件についてだ。

「確かにさ、ノックもせずに開けたのは悪いと思うよ。やっちゃったゼ☆くらいは思う。でも、こんな昼間っから盛ってるサーも悪いと思わない?」
「あら、でも、男なんてそんなものよ」
「ガーン!さすがロビンちゃん!その谷間に埋もれてきた男は数知れず!」
「なまえも埋まってみる?」
「キャアアアアハレンチイイ!あ、よいしょっとォ」

埋まらせてもらしました。この世の天国とは正にこれだと思いました。あー、パフパフすンばらしいいン!「…何してんだ、馬鹿が」

「あれ?サー?どうしたのーパフパフ」
「早かったのね」
「はや…っ、ロビンちゃん!そんなこと言っちゃだめだよ!流石のサーも落ち込んじゃうかr「おもしろそうな話してんじゃねーか」ひいいいいい」

ガッと頭を捕まれて持ち上げられ、ロビンちゃんの谷間に不本意な別れを告げてしまった。「ひどいよサー!せっかく他のどの男よりも長くロビンちゃんのパフパフを体験しようと思ってたのに!」「大丈夫よ、なまえ」ロビンちゃんはそれはもう美しくお笑いになられた。

「この谷間に手を伸ばした野郎共は全員問答無用でクラッチ!してきたから。なまえが一番よ」
「ほぎゅああああおんなのこでよかったあああ」
「ふふ、そうね。…あら、Mr.0、顔が青いわ」
「…報告は後で聞く。呼んだら来い」

…サーもちょっと怖いみたいです。(砂人間でもやっぱり痛いよね多分。男に共通した痛覚だよ同情だよ)
「了解」と微笑んで華麗に踵を返したロビンちゃんはクールビューティパーフェクツ!あまりの美しさにため息をついたところで、未だあたしの頭をわし掴んでいるサーが「なまえ」と呼んだ。

「なぁに、サー。とりあえず頭離して」
「やけに強気じゃねーか、あァ?」
「ギャアアいたいいたいわれるとびでるなんか出るー!」
「言いてェことはあるか?」
「ごめんなさいすいませんもう調子に乗りませんサーがちょっと遅い思春期だとか反抗期だとかオープンじゃなくて実はムッツリだよねとか繊細っぽいよねとかそんな噂は流しませんンンンン」
「…………(ギリギリギリギリ)」
「なんでもっと強くなるのサーァァァァ!」

ああもうだめだお花畑と心地好いせせらぎが聞こえてきたぞーじっちゃんばっちゃん久しぶりー…ってあの2人まだ死んでないはずなんだけど!!あれ誰よ!
瞬間、頭を強く締め付けて(握りしめて)いたものが解け、ピカピカに磨きあげられた床に不時着。うわー頭が変な感じだよー変になるよー

「…サーのせいで頭がパーになる…あ、韻ふんだ?」
「ふめてねェ。もとからおかしいモンはそれ以上にはならねーだろうよ」
「そっかぁ…ってそれ以下にはなるってことだよね」
「馬鹿言ってねェで早く立て。部屋に行く」

ぐ、と腕を掴まれて立たされる。乱暴に見えてそうでもない仕種。ていうか今この人部屋って言いました?

「ささささサー、あたしまだスリーピーポーとかそんな高度なことはむりですていうかツーピーポーもやったことないのに!サーのばか!女の子はデリケートなんだよ!」
「…なんの話だ馬鹿が。さっきの女ならもういねェが?」
「あ、なーんだ。びっくりしたなーもー」

生々しいのは無理だよムリムリムリリン。なまえ安心。「お望みならなら2人きりでやってもいいがな」社長、セクハラです。


そんなこんなでサーの部屋に到着。ぼふっと黒の高級革ソファーに埋もれる。ロビンちゃんな谷間の次くらいに天国。そんなあたしの隣にどっかりと偉そうに座って頭を撫でてくれるサー。あー、ロビンちゃんには悪いけど、あたしにはこれが一番かもしれない。大きな手は意外と温かくてきもちいのだ。

「はふー、ごくらくー」
「…で、さっきのは何だ」
「うん?」

さっきのとは何ぞや。首を傾げたあたしにサーは短くため息を吐き出して「ノックもしねェで部屋に入ってきたのはどこのどいつだ」と言う。ああ、そのことか。

「あれはねー、なんていうかー…」
「はっきり言え」
「……バナナワニワニガオガオガオー「掴むか」わあああ言う言う言いますううう」

また知らないおばーちゃんとおじーちゃんに会うのは御免だ。少しだけ力の入ったサーの手に呆気なく開くあたしの口はかわいそう。

「…サーが、最近、かまってくれないから、」
「………」
「お願いして等身大サー人形を作ってもらおうと思って」
「…………お前、」

再びため息をつくサーにあたしは口を尖らせる。普通は嬉しがるところだと思うんですけど!

「だって、サー忙しいのに構ってなんて言えないしでしょ!」
「気ィ遣うとこが間違ってるだろうが」
「どこが」
「……この、馬鹿」

わしゃわしゃと勢いよく頭を掻き回したサーに反抗すべく上げた顔は、いつの間にか目の前に迫っていたらしい、サーの顔との距離はほぼゼロ。

「むー、むー、」

唸ってみても離してくれる気配はない。片手だけで押さえ込まれたあたしはばっちりと目を開けていた。サーの目も薄く開いていて、そこにはあたしが映っている。(だから、きっとあたしの目にはサーがいる)べろり、とサーの舌があたしな唇を舐めてから、顔がようやく離れた。

「ぷはっ、ふあー…」
「くはは、ガキが一丁前に色気つかうモンじゃねェ」
「うわー、失礼ですよオジサンめ」

ふん、て笑うサーはどことなく嬉しそうだ。かがめていた背を元に戻して葉巻を吸う。むわっと広がる独特なにおい。この瞬間がなんとなく好きだったりする。

「サー」

彼が反応する前に膝に乗ってその広い胸に身を預けた。本当に久しぶりだ、こうやって触れあうのは。落ち着いた呼吸も強く香る葉巻も。

「やっぱり、好きだなあ」
「いきなり素直じゃねェか」
「嬉しいなら嬉しいってはっきり言えばいいのに。反抗期め」

まだ言うか、とサーは笑う。否定しないことも、穏やかに孤を描く唇も、本当に素直じゃない。だいすきだけど。
金の鈎爪をゆるやかに撫でて、少しだけ首を伸ばした先の頬にキスをひとつだけ。仕方ないから浮気は許してあげよう。

「でも、今度したら家出してやるから」
「くはは、やってみろ」

すぐに見つけてお仕置きしてやる。なんて、ほーんとに、

My crook dearest!
(彼の唇についてないルージュがその証)
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