こんなに綺麗な星の下に生まれたのに、わたしはいままで人間らしいことのひとつもやっていなかった気がする。酸素を吸って二酸化炭素を吐き出すだけなら人間じゃなくてもできる。ひとは長い歴史の上で伝えるということを覚えたんだ。それがどれほど大切なことか、今までのわたしは知らなかったらしい。

悲しいことがあったら泣け。嬉しいことがあったら笑え。感情はお前の持つ一番の宝だろ。苦しければ頼れ。俺が 助けてやる。

そんなことを笑ってわたしに言ってくれたそのひとに、わたしが惹かれないわけもなくて。感情をくれたそのひとを、わたしが好きにならないわけけがなくて。――わたしを人間にしてくれたあなたの事が、わたしは誰よりも大切だったんだ。



「ローさん、なんで、あたし生きて」
「馬鹿やろう…!!なんて無謀な真似しやがる。死んでたかも知れねェんだぞ!」
「ごめんなさい…。でも、ローさんが死んじゃうかと思って」
「だからお前はバカだってんだ」

ローさんの指先が、わたしの額を撫でた。珍しく焦った表情に胸がツキンと痛む。ローさんだけじゃない、ペボもキャスケットもペンギンも皆、心配してくれたんだろう、な。おぼろげな記憶の中で、彼らの声は絶えず私に届いていたもの。


「俺はお前に言ったはずだぞ」
「…」
「お前は俺のもんだ、と。そう言った」

お前の命は俺のだ。



簡単に、命賭けるなんて言うんじゃねえよ…。そう言ってローさんは私をぎゅうっと力強く抱きしめた。理由は全然わからないけれど、涙がたくさん出た。ローさんがあったかくて優しくて、すごくすごく想った。――いきててよかった。わたし、まだローさんの傍に居られるんだ。幸せだ。しあわせ だな。


「ありがとう、ローさん。わたし、いつかこんな日が来るなんて思わなかったよ」
「……ああ」
「だから今が幸せでしかたないの。だから…。あのね」


「私が生きている今をくれたあなたが大好きだよ。」

わたしをひとにしてくれて、ありがとう
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