ほう、と窓の外に視線を馳せて呆けてみる。すると後ろから聞きなれた声が聞こえた。


「何してんだ」
「スパンダム長官の抜け毛について考えていましたが何か?」
「何か?じゃねぇよヴァァアカ!!俺は抜け毛でも何でもないしな!」
「何にも…ない?それってハゲという意味じゃ」
「何・で・も・な・い!このバカが!」


もう知らんときびすをかえす長官に後ろから抱きつく。シャツに顔を寄せて、すんと鼻を吸えば長官の匂いがした。お腹に回した腕に、少しだけ力を込める。

「えへへ、あったかーい」
「……どうした?」
そうか、そりゃ、気付くか

「昨日初めて、ひとを殺しました」


長官は動きを止める。それから息と同時に、言葉を吐いた。そうかよ、ただそれだけ。
くるりとこちらに体を向けて私の頭を二度撫でた。
じゅうぶん、だった。
胸の奥底にぴたりとこびり付いた冷たい感情が少しずつ剥がされていくような気分。

こういうとき、すきだって思う。


あたしの言う好きは尊敬の念にも似ているけど、だけど、ちくしょうムカツクけども このスパンダム長官は実はとても格好良いのだ。ルッチ達にいえば本気で頭の心配をされ病院に担ぎ込まれるのだろうけど、断言する。


まぶたに媚薬
そうです、つまりはやっぱし好きなんです
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