凍てつくような寒さの下でわたしは自分の不甲斐なさに嘲笑した。(すこし油断してたなあ)腹部からどくどくと流れだす血を見れば自分の命がこれ以上持ちそうに無いことは嫌でもわかる。こんな時でも頭を占めるのは長官の顔、声、ああ、会いたいなあ死ぬ前にもう一度だけ会いたいなあ。気付いたら報告用の電伝虫を手に電話をかけていた。わたしは何ていう気だろう…。ガチャリ「もしもし。こちらスパンダムだ」長官の声、だ。

「ちょ、かん…?」

任務は完遂しましたけど油断もしましただから撃たれました撃ったそいつも殺しはしました。だけどそれでも、
――わたしはどうやら死んでしまうようです。


ごめんなさい(役に立たない部下で)
ごめんなさい(これ以上あなたを護ることができなくて)


最後まで私は謝ってばかりなのか。意気地なし。自分の思いを伝えるのが怖いならもうそんな恐怖を感じることは無いんだ。だって死ぬんだから。

「長官」
『名前か。どうかしたかァ?さては任務失敗したんだろ』
「ふ、ふ…任務は成功しました、よ。敵は全滅させました」
『そりゃ御苦労だ!だったらさっさと帰って』
「長官、あたしね」

声が震える

「長官の…間抜けたところとか変なとことかヘタレなとことか、たまに、かっこいいところとか大好きでした」
『――…お前何かあったのか』
「いえ、特に。」
『だったら何で泣いてんだ』
「…!」
『待ってろよ、今すぐそっちにルッチ達を』

「ちょうかん」

御体にはお気を付けて
縛り付けると解かっていて、
愛しているなどと言えるものか
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