「あちいよ…キッド」
「うるせェ俺もだ」
「…あんた将来の夢、医者だったわよねどうにかしてよロー」
「お前は医者という職業をもう一度辞書で調べなおしてこい」
「やだ暑い」

今日は8月のど真ん中。猛暑とか酷暑とかいろいろ言い方はあるんだろうけど兎に角脳内どろどろプリンのあたしらには考えるという動作は酷く億劫に思えた。

「それなのに…勉強会とかどうかしてるっしょ」
「テスト赤点取りまくって俺達に泣きついてきたのはどいつだ」
「…あたしでーす」


現在地点はあたしの家。あたしの部屋。クーラーはあるけどあたし今省エネ実行中だから使えな…嘘です。使い過ぎてぶっ壊れました。昨日まで散々地球に意地悪してましたごめんなさい…でもやっぱし暑いもんは暑い。
ここはジャンケンで負けた奴をアイス買いに行かせよう
でももしあたし負けたらどうしよう…多分泣くな。

大きく息を吸って、吐き出す。その動作さえ億劫だったけど…こうでもしないと息を吸う事すら躊躇ってしまう。なんかもう空気が薄いぜ…!

「…勉強は少し休憩にすっか」
「ほんとっ!?」

途端に目を輝かせる私に向かって、二人は仕方無さげに溜息をついた。普段は犬猿の仲である二人でもこういうときはどこか雰囲気が似てる気がする。

「行くぞ」
「え?」
「え?…じゃねえよ」
「ちょ、ど」

「駅前にできたジェラート屋…美味いそうだ」
「俺達が善良な不良で良かったじゃねェか。感謝しろよ」


がちゃりと、ドアを開ける。むんむんとした暑さが身を包むけど…それでもやっぱり私の心は躍っていた。夏の太陽と同じくらい輝いてる二人が少し眩しくて、なんだお前ら不良の癖に、って思ったりして。


――もしも、この二人が…もっともっと別の次元を生きていたとしたら相当大物になっていた気がする。侍だとか、殺し屋だとか、忍者だとか…あ、そうそう。
海賊、だとか。

二人に正義の味方は務まらないだろうから、それが一番妥当かも。さぞかし極悪な手配書が出回ってることだろう。
なんて想像を膨らませながら先をゆく二人の背中を追う。
異次元の英雄達
さて、ジェラートは何味にしようかな
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