重なった唇の柔らかさを理解する前に舌が入り込んでくるから、「待って」の言葉も浮かばなかった。交わった舌に、混ざり合った唾液に、思考を塗り潰されて、身体の自由を奪われる。されるがままに弄ばれて、長い口付けの終わりには、ただ伊黒さんに縋り付く形になっていた。「…すまないが、今日は優しくできそうにない」柔らかく腰を抱き寄せる腕とは正反対に、私を射抜く瞳の中には確かな熱が宿っていた。
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