―どうしたらこの気持ち分かってくれますか?






「ハデス先生」

「ん? なに?」

「好きです」

「え、…ああ。有り難う、僕も君と同じだよ」

「(―また、失敗か)」



最初は凄く驚いて(そりゃもう盛大に物を落として)いたのに今ではにこり、と笑って答えを返す先生。けど、残念なのは多分友愛とかの方だと思っている事だ。それも当然だろう、だって先生にとって私は保険室に遊びに来てくれる只の一生徒にしか過ぎないのだから。


私の方はそうではないと言うのに。


何時からだろう、先生を一人の男の人だと意識したのは




「(先生、鈍いからなー…鏑木さんのバレバレな態度でも気持ちに気づいてないし)」



私に出してくれるのだろうお茶をいそいそと用意する先生を見ながら彼の鈍さに密かに溜め息をつく。恋のライバルでもある彼女に同情を寄せてしまう。




「(…好き、好きです。貴方が好きなのに)」



何度告白しても届かない、どうして気づいてくれないの? けれど気付いた時の返事が少し怖い、だから踏み込めない。嗚呼矛盾してる



「はい、お茶」

「有り難う御座います。……美味しいです」

「それは良かった。後ね、名無しさん」

「はい?」

「あまり異性に"好き"と軽く言ってはいけないと思うよ? 他の人は勘違いしてしまうと思うから。本当に好きな人にだけ言う事を勧めるよ」

「! そう、ですね」




違う、違うの。先生だけには勘違いして欲しい。私の言う"好き"と言う言葉は貴方の思う"好き"とは違う事を分かって欲しいのに。嗚呼貴方は




「……残酷な人だ」

「ん? 何か言ったかい?」

「いえ」



ぽつりと小さく呟いた言葉は先生の耳には届かなかったらしく聞き返して来た、が私は首を横に振り平然を装う。



「(……確かに答えを聞くのは怖い、けど私は)そろそろ私、行かないと」

「え、ああ、そっか」



もう少しすれば藤が来るだろうから私は席を立つ。すると先生は"そろそろ授業が始まるからね"と優しく微笑む。そんな先生を一瞬だけ見つめ私は腕を伸ばし先生にぎゅと抱き付いた



「ッ!? 名無しさん!? どどどどうしたの!?」



私の行動に流石の先生も慌てふためく。けどそんな先生の様子など気にもせずに私は体を先生から離し驚きの表情を浮かべている先生の顔を見てにっこりと口元に笑みを浮かべて




「ハデス先生、大好きです!」




――確かに答えを聞くのは怖いけれど、自分のこの気持ちを偽らずに素直に貴方にぶつけたい。気付かないのなら気付いて貰えるまで例えどんな結果だろうと私は頑張るわ、だって後悔はしたくないから! その為にこれはまず最初の一歩。




―だから、先生










覚悟、して下さいね?
(それは小さな宣戦布告)







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