わかってやってるよな
- ※マルソ分裂済み
※ギャラさんが残念
ぐしゃぐしゃになった本棚を見て思わず絶句した。
ギャラが遊びに(勉強しに)来たって言うから、言語がたくさん載っている本をとりあえず五百二十冊集めてきたらこのざまだ。
昨日僕と分裂したマルクソウルが逃げるようにこっちに突進してきた、それだけ。
それだけで、本棚が三百くらい、倒れた。
「………………。」
二列ドミノ式に倒れてった。魔法を使う暇もなかった。ソウルはといえば僕にのし掛かったまま、倒れた本棚を見て唖然としている。
「マルク、なんだか…すごい物音がしたんだが?」
「っ、ひ、ぎゃあああああああ!!!」
用意した机で待って貰っていたギャラが、心配したのかひょこりと顔を覗かせる。うん、大丈夫、こんくらいは…半日かければなんとかなるのサ。多分。
ドミノをした張本人は、角のある戦士が近くにいると把握した途端に叫んで僕の後ろに回り込み、異常にどもりながらなにかを訴えてきた。何語だそれ、人語を話せ。
「ぎゃっぎゃらっが、ちか、ち、ちかく、くち、マルク、にげ、もうやだあああ!!!」
「少し気持ちを伝えただけじゃないか。マルク、私が危険人物に見えるか?」
「待って、本当に待って、ソウルに聞くから待って欲しいのサ!!ギャラすごい近距離なのサ!のけ!!」
「えぐっ、ぎゃ、ぎゃらが、………う、しろから、て、ばっ!て、ひぐっ、」
「後ろから手出されたの?」
「そんで、はがいじめ、されて、ひ、ぐ、」
「うんうん」
「…なんか、っ、キモチワルかった!!」
「えええよくわかんない…あああはいはい大丈夫なのサ、怖くない怖くない!!」
要するにセクハラされたって言いたいようで。普段の僕の立場をよぉーく味わったらしく、涙も嗚咽も止まらずギャラが見えない位置に落ち着いている。
ギャラに「セクハラすんな」って伝えたら、そんな単語初めて聞いたとでも言わんばかりの表情で「せくはら、とは、どんなものなんだ?」だって。そういえばうちに来たのは現代語勉強の為だった…。
「あー、えーと、つまり…過度なスキンシップは控えてちょーよ」
「すきんしっぷ…」
「…………んーと……えと、抱き着いたり、とか…?」
「駄目なのか。」
「せめて断りを入れたほうがいいと思うなぁ……ソウル、もういいよ、出てきて大丈夫なのサ」
「マルクソウル、先程のことは………今の話だと無礼だったようだ、失礼したな」
いつの間にか別空間にいたソウルがすとんと降りてきた。僕の後ろに。おもむろに抱き締めてきた。
「おっ………前が一番セクハラしてるのサ!」
「もうしない?ホントにしないサ?」
「どんだけびびってんだよ…離せよ…!」
「ああ…もうしない、謝る。お詫びに、キスをさせてくれ!」
なんだろう、すごく殴りたい。
ソウルにはしばらくダークマターんちに泊まらせることにしよう。
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