指定の時間に遅れてしまった。

急がなくてはならない。


だってあのこがまっている(かもしれない)









小松の元に届いた招待状は、一見意味不明のものであった。

拍手にコマメルを置くことになった。

つきましては云々…。


拍手?

こまめる???

なんじゃらほいの世界だったが、なぜかその時小松の脳裏に浮かんだのは、キラキラと輝く星屑の名を冠した調味料。


もしかして…
元は鉱物でもあるその粉と、同じ名をもつあのこと関係してるのだろうか?


なんだかドキドキしてきた小松は
「お、お土産!おみやげを用意しなくちゃ!」
どこかふわふわとした足取りでワールドキッチンへと向かったのだった。






ワールドキッチンで調達した材料で調理したお土産を持参し、指定された場所へ少し遅れてやってきた小松は、息をきらせながら辺りを見回した。


混雑しきりの駅前広場のどこを見ても、例のあのこの姿はなく、やはり自分の勝手な先走りだったかと一人苦笑いをしていると。

「キャー!巨人が倒れてるわっ」
「すごい血まみれだぞ!」

広場の向こうに人だかりができ、何事か騒いでいた。

血まみれの巨人?

かなり興味を引かれる単語に、自然と踏み出した小松の足を止める声があった。


「…こっ小松シェフッ!」


一瞬、心臓が止まるかと思った。


「メ、メルクさんっ!?ってうわすごいカワイイっ!?」

振り向いた先には、あのこ―メルクがうつむき加減に立っていた。

いつもと違う女らしい格好に思わず叫ぶと

「かっ…!?カ…カワカワイイッ!?」

顔をネオトマトのように赤くさせている。

「はい、メルクさんよくお似合いですよ!素敵です〜」

彼女が照れていることは承知で、さらに自分の思ったままを素直に告げる。



するとメルクは―。


「…ぼむっ!」





爆発した。





「メッ、メルクすぁぁぁーんっっ!?」




倒れ付したメルクを介抱する為に、彼女の頭を膝に乗せていた小松だったが、気がついたメルクが再度爆発。




…件の血まみれの巨人以上に人だかりができたのは、記するまでもないことであろう。
















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