/狐の人攫い
妖パロ





「童、こんな雨の中一人でどうした?」

銀狐の子が雨に濡れ震えていた所を、若い娘が声をかけた。娘が通る道の近くの山には、よくあやかしが出ると有名で誰も寄り付こうとしなかった。

狐の子は警戒しながら後ずさる。あやかしと云えども、まだ幼ければ人間にとって脅威には成り得ない。娘は何だか可哀相に思えてきた。

「暫くは雨は止みそうにないから、それがしのうちにおいで」




子狐を家に迎え入れると、すぐに汚れた体を清めさせ新しい着物も用意してあげた。
子狐は娘に礼を言ったが、娘は遠慮せずゆっくりと過ごして欲しいと答えた。

「それがしは幸村。童、名は何と申す?」
「佐吉。」
「では佐吉、お主の親は何処にいる?」
「おやはいない。山奥の廃寺がじぶんのいえだ」

娘、幸村は複雑そうだった。
「そうか、此処にはいつまでだっていても良いよ。お主が良ければだが、ここに住んだって構わない」
佐吉は驚いて幸村を見上げるが、やがて笑顔になりありがとうと答えた。
その晩佐吉は美味しい食事を貰い、暖かい布団の中で眠った。


翌日幸村が佐吉の姿を見ることはなく、炭で「ありがとう」と書かれた葉っぱが床に落ちていた。




それから一年ほど経ったある日。
他家へと嫁ぐ事になった幸村は、白無垢姿で輿が来るのを待っていた。

「…佐吉は元気だろうか」
縁側から山を眺めながら、彼女は呟く。それは悲しみに満ちた声だった。



「幸村」
低い男の声。
それに気付いた幸村は導かれるように縁側を降りた。

「さき ち?」
下駄も履かずに、彼女は声の元へと歩み寄っていく。季節は秋で、幸村と佐吉が出会ったのも丁度その頃だった。幸村は足袋が汚れるのも構わず、枯れ葉の道の上を渡っていく。

「佐吉なのか」
答える代わりに、白い手が幸村の手を強く引いた。まるで青年のようだったが、幸村は佐吉と信じて疑わなかった。


異変に気付いた目付役が、部屋から消えてしまった幸村の姿を探したが、ついには見つける事は叶わなかった。
その噂を耳にした人間の中では、きっと山の妖に化かされ連れ去られたに違いないと言う者もいたそうだ。


もしかすれば二人は結ばれ、あの山奥でひっそりと暮らしているかも知れない。いずれにせよ、真実は誰にも分からない。





/狐に嫁入り

二人が種族を超えて結ばれ、いくつか経った頃。
人の住まない山奥に家を建て畑をしながら仲睦まじく生活をしていたが、妻の幸村は夫婦となる前から気になっていた事があった。狐の物の怪である夫・三成は、本来は青年の姿でありながら、何故か普段は小童の姿をして生活しているのか。幸村はどうしても気になって仕方が無かったようで、意を決した彼女は口を開いた。



「三成殿…。貴殿はどうしていつも童の姿をとっているのですか?」
「?……ああ、このすがたか」
三成は幼い動作で両腕を広げた。

「本来のすがただと小回りがきかん。人里へおりるときもこのすがたをとる」
「…左様にございまするか」
確かに子供の姿をしていた方が、人間に変に怪しまれないで済むと幸村は納得した。



「どうした?
……あぁ、なるほど…。



本当の姿でいて欲しいのか」
幸村の目の前で、青年の姿へ戻った三成が薄らと微笑んだ。
本来の三成の姿は見目麗しく、幸村の顔が赤く染まる。

「言っておりませぬ!そのような事…」
「そうむくれるな、悪かった。…童の世話をやく母親でもあるまいに」
三成は幸村のか細い手をとり、そっと口付ける。



「もっと夫らしい事を沢山してやらねばな。これから二人で出かけるか?」
「………〜ッ」

人間の娘が、狐に嫁入りしたのちの話。






/溺れる魚
強姦DV注意、R18


「三成よ。武田の軍は使えそうか」
「戦力としては上々だ。大将が未熟な所を除けばな」
「あの虎若子は主を好いておるようだが」
「…どうでも良い」
三成は無機質に言い放ち、大谷に背を向けた。今の彼には、家康を討ち果たすという目的しか見えていなかった。



「石田殿」
陣から外れた場所で声がかかり振り向いた先には、懸念するような表情を浮かべる幸村の姿があった。

「何だ」
鬱陶しげに三成は睨みつける。
「貴殿の家臣達が心配しております。この数週間何も口にしてないのしょう?……睡眠もとっておられぬと聞きました」

「貴様には関係の無い事だ。
逐一構うな」
すっぱりと切り捨てられるが、幸村は負けじと食い下がった。
「しかし…その状態では、いつか倒れてしまいまする。皆貴殿を信頼しております、だから…」
歩み寄ろうとした瞬間、ガツンと鈍い音が響く。刀の柄で殴られたと気付いたのはその後だった。

「…!」
強く殴られた為、幸村のこめかみから血が伝う。実戦で鍛えられた幸村はこの程度の痛みには慣れていたが、些か精神を揺さぶられた様な気持ちだった。
「去ねと言っている……通じないのなら、今此処で斬り捨ててやろうか」
底から這いずるような低い声。
幸村は怯むが、それでも逃げようとはしなかった。それがさらに三成の怒りを煽ったらしく、大きな手が幸村の胸倉を掴み上げる。男の本気の力に、幸村が適うはずもなかった。


無抵抗であるのを良い事に幸村の顔を再度強く殴りつけ、地べたに突き落とした。

「あっ!」
倒れ込んだ隙に、三成の長い脚が幸村の腹に入る。めり込むような音がした。

「ぐッ!?がはぁッ」
胃液を撒き散らし咳き込む彼女を三成は蔑むように一瞥する。
「ぅぅ…………」
幸村の鼻から血が流れ、地面に滴るように落ちた。男からすると嗜虐心を擽られる光景に、三成は興が乗ったらしい。

「刑部から聞いた」
「…………?」
「私を好いているのだろう。ならば望み通りにしてやる」

三成は幸村の髪を掴み、引きづりながら人気の無い場所へ移った。




「石田殿ッ…お止め下され!」
「黙れ」
自分の下で暴れる幸村を抑えつけ、行為をし易い様具足と袴を乱暴に取り払う。
抵抗する度に何度も殴り、幸村の瞼や口元には大きな青痣が残った。

「喜べ。お前が欲しいのはこれだろう」
眼前に勃起した男根を突きつけられ、幸村は顔面蒼白になる。

露わになった秘部にあてがわれ、幸村は弱々しく首を横に振った。
「嫌だ、離し…」
「貴様も女ならば、嫌いではあるまい?」
強く擦り付けると、そこは次第に湿っていく。


「痛ッ―――ひぃィッ!!」
ずん、と大きな肉棒が狭い中を突き進む。幸村の膣内から純潔の証が流れ出た。

「やぁァあ!!?た、助けッ」
三成は時折幸村を殴りながら何度も出し入れを繰り返した。まるで彼女の悲鳴を楽しむかの様だった。





ぐりゅっ、ぐちゅっ、

辺りに血を散らしながら、幸村は三成の剛直を受け入れる。三成もまた幸村の髪を引っ張りながら、膣内のきつさに眉を寄せた。

「そろそろ、果てそうだ……
中に、出すぞ」
「ひッ………やめてっ、中だけは、ぁあァ!」
三成は無視して幸村の膣内へ射精した。射精後萎えた男根を取り出すと、収まりきらなかった白濁が溢れ出す。



三成は何事も無かったかのように身嗜みを整えると、幸村を放置して何処かへと去った。

幸村は脱がされた衣類をかき集めると、誰にも聞こえないような声でひっそりと泣いた。







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