年の差カポー
現パロ特殊R15





ぼんやりと暗い影が差す。

気付いた時には、空は既に茜色だった。竹林が無数の線を描き足元まで真っ直ぐ伸びてくる。腕まで這い上がってくる蟻を指先で払うと、元来た道を引き返そうと思った。



仄かに煙たくって、何処か悲しいような香りがして後ろを振り返る。灯篭の影から真黒な傘が見えた。白い着物の裾から覗く足が青い砂利を踏む。辺りが無音と錯覚してしまう程、私は女を凝視していた。

日が暮れるから、早くお帰り

薄い口が小さく動く。
私は始めて執着というものを覚えた。





夜更けの頃、投げ出された手がぴくりと動いた。髪油の香りが鼻をくすぐり、先程の情事が鮮明に思い出される。


「どうかしてる」

女は自嘲するように言った。ああ、確かにそうかも知れないが。それにしても、この関係自体がよく長く続いたものだと感心した。

「某だってもう若くはありませぬ」
「何が不満だ。いつになったら契りを結べる」
「………」

体を引き寄せると、布団に隠れていたふくよかな胸が露わになる。何度も抱いた体。その中に今し方精を吐き出したばかりだ。

女は何処か悲しそうに笑い、あやすように頭を撫でられる。それが嫌だった。何を恐れる事があるのだろうか。それが分からない。



世間体などどうでも良かった。若さ故、ただ目の前の女が欲しかった。

女がどれだけ苦しんでいるかなど、気付く筈も無かった。







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19歳と36歳



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