弁丸がょぅι゛ょ 現パロ 日が昇るのが早い時期になる。田舎のとある一軒家で二人の家族が住んでいた。近くの大学院に通う青年とその遠戚の、小学3年位の少女だった。その朝、鉛の様な体を何とか起こし青年、三成は洗面台で顔を洗っていた。小学校が夏休みに入った為、少女の方はとうに起床しておりラジオ体操をしに公民館へと出かけている。三成の方も大学院での研究が一段落つきかけている様で、休暇をとるよう教授から言われたばかりだった。以前までは、特に趣味も持たない彼は研究ばかりに明け暮れる日々を送っていたそうだが、少女――弁を預かる事になってからは色々と変わったらしい。 振り子時計の指す時刻は9時に近い。水で濡らせど眠気の冷めない顔をぼんやりと鏡で眺めながら、三成は掠れた声で「動くか」とぼそり呟いた。 弁は既に戻っていたらしく、台所からフライパンの焼ける音がする。食事はローテーションで作るようにしているが、朝の食事は専ら弁の役目だ。引き戸を力無く開ければ、案の定台所上で目玉焼きを焼く少女の姿。ノースリーブのワンピースから覗く細っこい腕が、拙い動きながらも巧みに炊事をやってのける様は、傍目からしても関心するが、二人にとっては当たり前の風景だ。 「お早うございまする、三兄!」 良い色合いになった目玉焼きを皿に移しながら弁は挨拶する。 「お早う…」 三成は小さく返すと、箸やコップをテーブルに並べ始めた。 --- 弁→幸村の娘。 幸村自体は弁を生んだ後首吊り自殺、遠い親戚の三成に預けられる もどる/とっぷ |