「……サイッテー…」
夕方、自室のベッドで少女は怒りに瞳を染めてふるふると震えていた。
早朝からいきなり襲われて気を失ったてつこを抱き上げて風呂場に運んだウィルバーは、自分が汚した彼女を洗い清めようとしたのだが、結局そこでも彼女に覆い被さった。
いくら強かろうが、疲れ果てた状態で一回りも二回りも体格の違う男に敵うはずもなく、少女は見事に食われた。 気をやって、しかし更に突き上げられて再度目を醒まし、また絶頂を与えられ。 幾度も繰り返される非情と言ってもいいその責め立てに、少女は何度目かでもうやめてと泣き叫んで懇願した。 しかし少女の切実な願いはまるで聞き入れられず、さんざん好き勝手されてウィルバーが満足した頃には数え切れないほど昇りつめたせいで喉も嗄れて目を開けていることすら難しくなっていたてつこは正体を失った。
その後てつこのベッドで二人して眠りこけて結局朝食はおろか昼食も食いっぱぐれてしまった(部屋を訪れた兄はシーツにくるまる二人に何かを察して起こすのをやめた)。
──そうして今の今まで惰眠を貪っていたわけだが。
目を覚ました男は腕に抱えたてつこを見て一言。
「何をしてらっしゃるのですか?」
それはもう心底不思議そうな顔で。
聞けば何も覚えていないという。 こちとら日課の勉強も午後の稽古もできなかったんだぞ、おまけに今日何も食べていないしと睨む少女の視線を受けて、ウィルバーははたと思い当たった顔をした。
「そういえば私もお腹が空いております」
そっちじゃない…! 怒気に全身を震わせながら、男がしでかした罪を弾劾する少女に、男は爽やかにああ、と笑った。
「道理で。なにやら気持ちのよい夢を見ていた気がしたのですよ」
言い終わるか言い終わらないか、すっきりした笑みに鉄拳が音を立ててめり込んだ。
(迷惑だからちゃんと寝なさいよね!)
2010/03/21 |