※百合



「ダサい女って大嫌い。」

不服そうな、あからさまに不機嫌ですって顔で、そう呟く彼女の事が、私は大好き。

彼女の嫌いなものはこの世に嫌っていうほど溢れていて、彼女はそれを目にする度、煙たげに表情を歪めるのだ。
特に彼女は、女を捨ててる女を見下して、かつ、嫌悪している。
私にしてみれば、彼女のそれは同族嫌悪のように思える。
だって、彼女もかつては女を捨てて生きていた。お世辞にも、昔の彼女は可愛いとは言えない。体型はぽっちゃりとしていて、髪もぼさぼさ。
会話も会話にならなくて、正直、教室でも浮いていた。
でも、その整わない髪から覗いた彼女のまんまるな瞳はとっても可愛くて。

私はいつ頃か、彼女に恋をし、今に至る。

職場の仲間に対する毒を吐きながら、彼女は私の首に手を回し、絡み付く。
ご丁寧に巻かれた髪を揺らし、化粧で整えられた顔を此方に近付けてくる、目の前の可愛い女にうっそりと微笑を返せば、彼女は頬を紅潮させ、目を伏せた。

「小百合(こゆり)?」

コテで丹念に巻かれた毛束を指先で捻りながら、わざとらしく首を傾げて名前を呼べば、彼女、小百合は、初々しい女学生のするように、恐る恐る、そっとはにかんだ。

「ううん...、やっぱりカイリは綺麗ね」

私の知る女たちの中で、一番綺麗。
そう呟いて、鼻先で私の首筋を擽る小百合の頬を撫で、「小百合も可愛いわ 」と一言言ってやれば、小百合は安心したように頬を緩める。

ああ、可愛い可愛い私の小百合。
私の存在が、私の言葉が、相変わらず唯一の拠り所なのね。
柔らかな肌を確かめるように小百合を抱き締めれば、艶やかな吐息が彼女から漏れた。
どうかしたの、と頬から腰元まで、ゆるゆると手を降ろせば、どんどんと小百合の頬の赤みが増す。
擦り寄せられた太股の間に手を差し入れて、布越しのそれを確かめた私は酷く驚いた。

「もう濡れているの、小百合」

「あっ」

ぷくりと浮き出たそこを爪先で弾けば、甘い矯声が跳ねた。

「ふふ、可愛い」

羞恥を堪えるようにふるふると震える睫毛の上にキスを落として、小百合をベッドに押し倒す。
彼女のたわわな胸を優しく揉みながら、かり、と胸骨に歯を立てる。

「んっ、カイリ...ッ」

ちゅ、ちゅ、と、リップ音を立てながら、開いた手を下着にかければ、内腿がぴくりと跳ねた。
既に愛液で濡れているそこに、ちゅく、と浅く指を一本入れて、焦らすように入り口を掻き回す。

「あっ だめ、んっん...んぅ!」

いやいやと頭を降って快楽に耐えようとする小百合に、薄く笑って、深く指を押し込めば、 熱く蕩けた中がぎゅうぎゅうと指を締め付ける。

ああ、可愛い可愛い私の小百合。
私にすがって、私を求めて。
私しか、見えていない。

いいところを指の腹で押して、刺激する度、甲高い喘ぎが室内に響く。

白い肌、柔らかい体、指通りの良い髪。
すっかり悦楽に蕩けた顔で、私を呼ぶ様がいじらしい。

一人では、最早立てない可愛い雛鳥。
私に依存して、し続けて。

これからも私はこの子と共にあるし、この子もきっと私と共にある。

血色の良いその唇にかじりつけば、甘い、甘い、毒林檎の味がした。





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