▼オッサン化ヒロイン注意



「私の好きなタイプの人はね、カイネ」

へらり、締まりの無い笑顔で紡がれた言葉に動悸にも似た動きを私の心臓が取った。いきなり何を抜かすんだお前は、そう言うと未だに弛みきった笑顔で、ごく自然に私の胸を小さなその両手で下から持ち上げ、左右から挟むように揉みながら言い放った。

「この柔らかな感触とかー、引き締まった腰から太ももにかけてのライン、と言うかしなやかな筋肉とか…あ、やっぱり内腿最高」
「やっやめろこのクソ花子!!下着をたくし上げるな!」
「たまらん、この筋肉と脂肪の絶妙な感触。たまらん。」

さわさわ、さわさわ、いつの間にか片手が私の内腿を這っていて驚きの余り声が荒ぶった。花子の細い指はそれでも止まらず、好き勝手に内腿を撫で回している。

「ふふー、カイネの匂いも好きなんだよね。花の匂いがする。」
「そ、それは月の涙の…ッやめろっつってんだろうが!!」

つつ、と然り気無しに下着越しから私の忌まわしいモノに触れてきた花子の細腕を掴む。ああ、本当に直ぐ折れてしまいそうだ。そんな私の表情と掴まれている部分を見比べ、花子がまたへらりと笑う。

「残念」
「言いながら胸の下着を剥ぐな」
「えー…」

至極残念そうな顔のまま、私の胸を弄る手は止まらない。ただ単に感触を楽しむための触り方だから感じるわけもないが、これがまだ続くとなると面倒だ。

「突然何なんだ。何時も以上にしつこいぞ」
「寂しくてさぁ、なんかこう、手が」
「…お前、性別は女だった筈だが?」

私がそう言うと花子はやっと私の胸から手を離した。が、息吐く間も無く思いっきり抱き着かれる。本当に何なんだ、今日の花子は。おいと声を掛けるが一向に返事は無い。仕方が無いから暫く放っておくと、とても小さい声で花子が呟いた。

「さびしい」
「…そう、だな」
「二人だけは、さびしい。」

風が凪いだ。花子の髪が揺れる。その髪を鋤きながら頭を撫でてやると、小さく涙を飲む声が聞こえた気がした。
エミールも居ない、ヨナも居ない。ニーアも居ないし、街の人間は誰一人残っていなかった。きっと私たちで最後の二人なんだろう。再び花子の手が私の胸を掴む。

「はあ、でっかいねぇ」
「…今日だけだからな」
「えっ好きなようにして良いって?よっしゃあじゃあナニしちゃおっかなぁふふー」
「違う。今日だけ、一緒に寝てやる」

そう言った私に、花子は一瞬面喰らった顔をしたあと直ぐに満面の笑みで親指を立てた。

「本番が本命って事ね!!」

輝かしいその笑顔に拳骨を喰らわせたのは言うまでもない。



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夜中のテンションで書き上げた。夜中って怖い。それにしてもカイネ、プロポーション良すぎだろう…
20130320







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