…うん、平気だよ、呟いた声は掠れて聴こえた。ニーアの手が震える。見開いた瞳から一粒、二粒、涙が溢れる。それを救ってあげたかったけど手が動かないので微笑むだけにした。それにしても、口から溢れた血糊が乾いて上手く笑えなかったけど。ギッ、と音を立ててニーアが剣を握り直す。

「ヨナは、助からない」
「うん」
「きみも、助からない」
「…うん」
「なら、俺が救う」
「…うん」
「その為には、きみが、花子が、じゃまだ」
「…うん、」
「…ごめん」

グチャ、と粘着質な音を立てて私の左胸から剣が抜かれる。サラサラと流れていく生暖かい血がニーアの靴を汚した。まるでまだ死にたくないと彼に縋って居るようで滑稽だった。

「花子、」
「――、」

意識が急速に薄れていく。私の体を抱き抱えて涙を流すニーアがかなしくて、くるしくて、私も涙を流した。ヨナちゃん、新しい体を受け入れられるかな。あっち側の私もこっちのニーアに殺されちゃうかな。痛いよなぁ、やっぱり。刺された後はもうただ熱いだけだから、意識を遠くにすれば良いんだ。ねぇ、私、大丈夫だから泣かないでよ。ヨナが一番好きなニーアが大好きなんだから。ね、泣かないで?


呟いた声は、言葉にならず、はらはらと、散った。





Did you have an eagerness for life with me?
(きみは僕と生きたかったですか)
呟いた声に返答は無く

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ニーア夢初書きです。とうとうやっちゃいましたね!


130105






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