▼綱吉視点



「散々だった」

ドスッ、全ての酸素が消えてなくなるんじゃないかと思うくらいの重々しい空気と共に、帰ったばかりのリボーンがソファへ乱暴に座るなりエスプレッソを飲む間もなく呟く。

「今日はデートだったんじゃないの?」
「少なくとも俺はそのつもりだったぞ」
「リボーンは…ってどういう事?」

リボーンの不機嫌な顔を眺めながらそう問い掛けると何を思い出したのか舌打ちをした後、ポツリポツリとデートの内容を話し始めた。




「…で、要するに花子はデートではなくリボーンの愛人とのデート先の下見だと思ってたわけ?」
「笑えるだろ」
「愛人なんてとうの昔に切り捨てたのにねぇ」
「花子は知らねぇからだろう」
「知らせる必要も無かったからね。反乱防止にもなったし、本当女って隙あらばなんにでも擦り寄り取り入ろうとするよね」
「コッチの業界の女は特にな」

答えてからリボーンがため息をつく。余程気を遣ってきたんだろうなぁ、リボーンのこんな姿を拝ませてくれるのは後にも先にも花子と言う存在だけだろう。疲れ果てたリボーンがエスプレッソを漸く口に運んだ。

「つーわけで、だ」
「ん?」
「花子を囲う。良いな?」
「それ、俺に拒否権あるの?」
「ねーな。」

なんだよ、やっぱり。そう言って俺も自分で淹れた紅茶を飲む。何時になってもコーヒーの酸味に慣れないから紅茶を愛飲してるけど、リボーンには毎度ガキじゃねーんだからそれ位耐えろと叱られる。ズズ、と紅茶を啜った時にリボーンが真剣な顔をして胸元から白い紙を出して俺の前に置いた。

「え、ちょっと何これ」
「花子と俺の住む家だぞ」
「は?…住むってちょっと、アジトから離れて暮らすって事?」
「あぁ」

トントン、と真新しい請求書を指差して自信満々といった表情で笑うリボーンに思わず出た溜息ぐらいは赦されていいと思う。確かにリボーンが選んだのならセキュリティ的にも問題無いだろうし、ただでさえトラップを張るだろうしな。何せゼロが幾つも付いた物件を買ってるんだ、それくらいしっかりしてないと困る。

「じゃあ後の手筈は頼んだぞ」
「こっから人任せかよ!」

叫んだ声が部屋に反響して、カップに残っている紅茶を揺らした。





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蘭花さんよりリクエスト、リボーンとイタリアデート、でしたが!どうしてもデート風景がリボーンでは再生されず、むしろ振り回されてるイメージしか湧かなかった結果地味に内容の変わったお話になってしまいました。苦労人綱吉が居ると尚良しとあったので、そっちを強く出してしまいました。
お気に召していただければ何よりです!

そして我が家の綱吉は豆腐の願望によりコーヒー飲めない設定。




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