▼ヒロイン死ネタ



心臓に刃物が突き刺さる瞬間だった。きみの驚いた様な、絶望したような、そんな眼を、顔を、表情を見たの。後ろでは姿の変わってしまったエミールが悲鳴に近い雄叫びを上げていて、カイネなんか凄い、見たこともないような凶相をしてる。テュランまで怒っているのか、半身の文字が肌に浮いて揺らいでいた。

こふ、と込み上げてきた血が私の口端からこぼれていく。胸から突き出た刃物にはべっとり私の血が付いていた。痛いなぁ、肌を、肉を裂かれるのは。後ろから貫かれて持ち上げられているせいで地面に足がつかないから、安定を失って足がゆらゆら揺れた。ぼたぼたと地面に落ちていく赤い雫は止まることを知らないらしい。

ヨナ、ヨナ、ヨナ。

後ろから聞こえた声に、そう言えば私を刃物で貫いたのは向こう側のニーアであると思い出した。そんなに必死に、あの子を探しているの?あの子はきっと新しい体を望まない。二人とも悲しいまま死んでしまうよ、そう思っても言葉に出来ないから伝わらない。後ろのニーアが刃物を私から抜く。支えがなくなったため、私の体が重心に逆らう事なく地面にドサリと倒れた。視界の端にニーアが見えた。拳を握り締め過ぎているせいで腕が震えているのが見えて、やっと私の目から涙がこぼれた。


ああ、彼の怒号が聴こえる。



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ヒロインがブッサリ殺られて死ぬまでの話。




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