→残念ながらべた惚れ(広瀬)

 そうだなあ。たまに笑うのを見ると幸せな気持ちになるよ。潔い性格も、俺が結構ひねくれてるせいもあって、見てて気持ちいい。ああこういう考え方するんだっていうのを知る度、頬の筋肉が緩んじゃうんだよね。結構甘えたがりなとことか、分かりにくくやきもち妬くところも、ほんと君、可愛いよね。あと髪質、良いよね。ふわふわしてて。目も好きだよ。いつも真っ直ぐ俺のこと見てくるのは、ちょっと恥ずかしいけど。あと、顔も勿論。こんなに可愛いのに、口調がそれって、ほんとに良いなあって思う。

 もう良いの? まだ上げられるけど。……おだててないよ。前に言ったよね。「不安なら俺の言葉と態度で示す」って。言葉で示したから、次は態度だよね。……仕方ないじゃない、俺、本当に君が好きなんだから。だから、目、閉じて?



→この恋、きみ色(風羽)

 手がふれる一瞬には、すっと息を止める。そうして指先がふれて、広瀬くんは驚いて、けれど恥ずかしげに笑って手を繋いでくれる。祖父のものとは違う、つるりとした指のはらが、私の手の甲にうっすらと浮き出た骨を撫でていく。

「……君って、手を繋ぐの、好きだよね」

 知っていますか。私はあなたのはにかんだ笑顔がとても好きなのです。手を繋ぐのも勿論好きですが、それ以上にこの一瞬に見せる、照れて困ったような笑顔が、私はとても愛しいのです。