一つ呼吸が止まるとそれきりきみは動かなくなった。柔らかな躯と残り火の熱は最早きみが生きていた証でしかない。瞼を伏せようと手を伸ばしても身動ぎひとつしなかったね。あれほど僕に触れられることを厭っていたきみが、なに一つ言わないで僕の腕のなかにいる。いのちが足りないだけなのにこんなにも空っぽだ。なあ、こんなことってあるかよ。きみがなにもいわない夜なんてはじめて知ったよ。僕はいちども、こんなことは望んでやいなかったのに。緩やかにいきものではなくなっていくきみを、煙にしてしまいたくないんだ。
目を開けて、僕にキスをして。そうやって笑い合って生きたかった。
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