「いったぁ!何すんですか沖田隊長!?」 いつだって真選組一番隊長の沖田総悟は、監察である俺、山崎退にちょっかいをだす。ちょっかいだなんて言ったけど、そんな可愛らしいものではない。持ち前の力を全て出し切る勢いで攻撃してくるのだ。 「おう山崎ィ、地味すぎて気付かなかったんでさァすまねぇな。」 「それ、謝ったのに入るんですか。」 この人は生まれつきに他人を傷付ける才能を授かったようだ。 場所は真選組屯所、廊下。通りすがり際にわざとらしい伸びを理由にすばらしい怪力で頭をぶたれたのだ。 「そういやぁ昨日まで監察行ってたんだろィ?」 「あ、はい。」 話をマイペースに進めるのはいつものことなので敢えてつっこまない。 「どうだった、なんか掴んできたかィ。」 「えぇまぁ…少しは。」 完璧とは言えないものの、リスクに応じた分の働きはした。 「そうかそうか。」 「えっと…それが何か?」 「いや、気が向いたから聞いてみただけでさァ。」 いかにもどうでもよさそうに欠伸をする沖田隊長にげんなりする。 「そうですか。」 特に今日は副長からの言付けもないし、そのまますれ違おうとすると、またしても阻止される。 「いっだぁ!今度は何ですか!?」 どすっと足を踏まれた俺が叫ぶと、行動にそぐわない軽やかな顔をして隊長が笑う。 「暇なんでさァ。もうちょっと喋ろうぜィ。」 「は?あの俺、今から副長室に行かなきゃならない…」 報告書を見せて言い訳をすると、踏まれたままだった左足の痛みが復活した。 「土方あんちくしょうの言い付けと、俺、の、頼み、どっちを優先させるんだィ?」 半端ない威圧感を醸し出しながら口元を吊り上げる隊長に、俺は笑い返すしかなかった。 「もちろん、沖田隊長です…」 廊下 |