「死ね土方ァァァァァ!」 お決まりになった台詞に、日常化したバズーカからは煙。 「てめーが死ね総悟ォォォ!」 懲りずに奇襲を仕掛ける俺に、相変わらず彼はそう言うけど。本当は、死んでほしいなんて思っていない。いつしか土方さんの顔を見ればそういう行為に走るようになっていたのだ。これが俺達のコミュニケーションだから、なんていうのは、そんなことしか言えない俺の言い訳。 「てめー、また街中でバズーカぶっ飛ばしただろ。」 副長室に呼び出して、土方さんは俺に昼間のことを咎めた。 「俺にも色々あるんですぜ?思春期特有の反発とか、頼りない上司(マヨラー)への不満とか。」 「(マヨラー)って何だよ!!聞こえてるっての。」 勿論これは俺が故意にやらかしたことなのだが、こんな嫌な顔をされると気も滅入る。その上ここ最近渦巻いている得体の知れない不安が、もやもやと俺を包む。突如口を閉じた俺に、土方さんは不思議そうな表情を浮かべた。 「どうかしたか…?」 「土方さん、俺のこと嫌いですかィ?」 「は?いきなり何の話、」 「俺ァずっと、いつもあんたが嫌いだって言ってるけど。」 今まで閉じ込めてきた言葉の羅列は、一度口から零れ落ちると止めどなく溢れてきた。自分でさえも意識していなかった想いは、口に出して初めて形になっていく。 「自分が勝手に言ってるくせに、そのせいであんたに嫌われるのが怖くて仕方ないんでィ。」 ねぇ土方さん、なんででしょう。力なく繰り返していると、土方さんは煙草を灰皿に擦り付けた。 「んな訳ねぇだろ…。俺は嫌いな奴の相手をするほどお人好しじゃねぇんだ。」 ちゃんと、分かってるから。思いがけない言葉に顔を上げると、彼の煙草の薫りが鼻をついた。 煙草の薫り |