変態島×シズちゃん好き好きに提出させていただきました。
仕事中、何の前触れもなく静雄は思った。
臨也はなんてエロ可愛いんだ!!!
トムさんの後ろをノロノロ歩いていた静雄の足はぴたっと止まる。頭の中は臨也のあんな姿やこんな姿でいっぱいだった。
「静雄?どーかしたか?」
「先輩に返答を求めます」
「………………」
「おーい静雄!し・ず・お!!!」
「はっ!!すみません、ちょっとあっちの世界がバラ色すぎて見とれてました」
支離滅裂な事を言ってる自覚はあるのか無いのか。
トムさんは“はぁ”とため息をつき、ヴァローナはパチパチとまばたきを繰り返す。
「あと一件だから我慢すんべ」
「うっす」
「静雄先輩は何を我慢する必要があるのか、回答を要求します」
「あぁ、お前は知らなくて良いこと」
「???」
不思議な顔をしているヴァローナをよそに、2人は歩き出した。
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「はぁ……波江さぁん今日は帰って良いよ。」
「あら、珍しいわね貴方がそんな事言うなんて。」
「何?帰りたくないの?」
「いいえ、そろそろ時間だから帰らせてもらうわ」
「…時間って?」
波江が帰る時間まであと1時間近く余裕がある。臨也が首をかしげて波江を見ると、彼女は“何でもないわ”と言い残して、部屋から出て行った。
クルリと椅子を回して窓の外を見る。沈んでいく太陽が街を揺らめかせ、何かの模様のように光と影のコントラストを描いている。
「シズちゃんに会いたいな」
ふっと口から出た本音、恋人である静雄とは、かれこれ1週間近く会っていない。
「シズちゃん来ないかな〜」
ダンダンダン
扉をたたく音が響く。今時こんな事をするやつを臨也は人しか知らない。いや、1人だけ知っている。
臨也が会いたくて、触れたくて、今日の仕事が手に着かなかった元凶。
ダンダンダン!!
「はぁーい待ってー壊さないで!!」
ダンダン!ダ、ゴン!!バダン
「あー扉が……」
「臨也ぁこの扉壊れてんぞ」
「シズちゃんが壊したんでしょ!?」
玄関に着くとシズちゃんが見えた、もともと付いていたであろう扉は、無惨にも部屋の中に倒れている。
「随分見通しが良くなったね」
「涼しくて良いじゃねぇか」
「良い訳ないだろ、どーすんだよこの扉!!」
「付けとけば良いだろう?」
「それじゃシズちゃん以外出入りできないじゃん!!」
「おー良いなぁそれ」
「なに言ってんだよ!!」
アホかこいつは…
静雄は扉を持ち上げて、ガコガコとはめ始めた。扉は静雄の力に耐えきった様だが、蝶番が耐えきれなかったらしい。
「シズちゃん…?外からつけてどうやって入ってくるのさ?」
「……」
バン!
向こうから扉を押して元の状態に戻す。いとも簡単に倒れてくる。もはや扉としての役割を果たしてない。
結局、静雄が中からはめて応急措置となったが、何ともこの扉触れたら倒れるという、危なっかしいモノになってしまった。かなり新しいタイプの鍵が付いていた臨也の部屋は、誰でも侵入可能な部屋になってしまった。
「よし、これで良いだろ?」
「何がどう良いのか本当理解できないけどね」
「おい!!」
「……なに」
「エロい」
「は?」
まじめな顔をした静雄は、臨也に顔を近づけるとじーっと見つめてつぶやいた。
「やらせろ」
「いや」
「俺の方がいやだ」
「………本当信じられない」
そう言ってゆっくりと静雄の首に手を回す。臨也の腰に手を当てて、抱きしめれば自然と近づく唇に目をつぶって応える。なんだかんだ言って静雄に甘い。
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