桂から菓子を貰った。箱を開ければ中身はカステラで、さっそく食べようと思いフォークを探したが当然保健室にあるわけはなく、職員室に取りに行こうとしたところ。面倒臭いことに銀八がやってきてしまった。
「よっす」
「何だよ」
「あ、どうしたのそのカステラ」
「やらねえよ」
「なあ、お前根岸のアレ、知ってるか?」
「根岸のあれ?」
「何だ知らないのか」
銀八は俺のカステラを断りもなく一つ、つまんで無遠慮に口に放り込んだ。残り丁寧に切り分けられたカステラは5つ。
「何だよ根岸何かしたのか?」
「え〜べっつにい?知らないならあ?何でもないけどお?」
また銀八はカステラを口に放り込む。
「おい、何だよ。言えよ」
「誰にも言わない?」
また一つ。
「言わねえよ」
そしてもう一つ。
「あいつ、服部とデキてるぜ」
自分で手に取ったカステラを落としてしまった。いま、銀八は何て言った。
「この間よぉ、俺の城であいつら逢引してやんの」
「何かしてんのを見たのか」
「見てねえよ。沖田君が俺のこと引っ張ってちゃったんだもん」
「じゃあ、その二人がデキてるかなんて分かんねえじゃねえか」
「いや、あれは絶対にデキてる。俺は分かる」
「ああ、そうかい」
「本当ショック。何でよりにもよって服部先生なわけ。どうして俺じゃないわけ」
「気持ち悪いこと言ってんじゃねえよ、帰れ」
銀八の不確かな話でカステラ一つを無駄にしてしまった。もう残りカステラは一つしかない。
「あ、そういえば」
「どうした高杉」
確か根岸が素っ頓狂な質問をしてきた気がする。
「昼、根岸がここに来た」
「なぜに」
「変な質問をしてきた」
「何て?」
「忘れた」
途端に銀八は呆れた顔をして保健室を出て行ってしまった。一体何だったんだよ、アイツ。もうフォークも必要ないから、お茶を入れ直してカステラを食べよう。椅子にどっかり腰を置き机を見て、あることに気付いた。
「あ、カステラねえ」
今日お茶しか飲んでない。
@銀八が持って行きました
まえ