「北島先生はいずこ」

一息ついて保健室の扉に寄りかかると、そのまま滑り落ちていく。

勢いあまって走って辿り着いた場所が保健室だった。ここまでくると一種のカウンセラー室みたいなものだ。

「もう帰ったんだっけ」

緊張が過ぎて時間の流れを忘れていた。けど、さっきの事は忘れもしない。忘れられない。

「またそこに」

忘れられない原因の声が背後から聞こえてくる。彼は今一体どんな顔をしているのだろう。

「何でそんな大バカ野郎の所に」

しゃがみ込んだままの私に一言。河合君も一緒にしゃがむと、降りかかってきた唇が目尻に当たる。

「まずは友達からでしょう?」


つぎ