反響に誤解を見るお年頃




脱臼している遺体の腕を一気に引き抜きながら私は先日の事件を振り返った。あの奇怪なパーティーの顛末についてメディアは大きく取り上げることもなく新聞の片隅にひっそりとあらましが語られているだけで世間は流していた。そういうものだろう。

私が引っかかっているのは自分に対するイルミさんの不可思議な言動だ。何もかもが引っかかり、こんがらがっていく。こうして仕事中にも考えてしまう始末。

「厄介だ」

次回イルミさんから受ける仕事は後回しにしてしまおう。私は解体の終わった遺体を木箱に詰めてビニールカーテンの後ろに追いやった。端々にカビがこびりついた鏡越しに見る自分の姿は彼が言うように可愛いとはとても思えない。飾り気のないつまらない顔が白の手術着やマスクに同化している。

「早く帰りたい」


つぎ