制約をつけたいお年頃




「ちょっと触らせてくれるだけで良いんだ」

「どこをどう噛み砕いても納得できるような頼みじゃないんですが」

威圧感をまとう手を引いて開いたり閉じたりを繰り返し見つめているイルミさんの隙を狙ってベッドから逃げだそうとしたが急所の首を捕まれてしまっては、そうやすやすと上手くいくものではなかった。

「どうぞ」

もうどうにでもなれと思った。噛み締める歯に力を込めて枕に深々と頭を沈ませイルミさんの接触を待っていると、肩にのしかかる重みがやってくる。一体、何が起きた。目だけで彼を見ると私に頭を寄り添わせ、ぬいぐるみにやるような動作で抱きしめる。合わない、全ての行動が間違えたパズルのピースを無理にはめこむのと同じくらい合わない。

「ただ見ているのと自分の手で触ってみることは違うって聞いてさ」

「…それで、どうでした?」

「確かに違うや、全然」

どこかにイルミさんとフランクな会話が出来る希少な人物がいるというのか。そしてこんな妙なことを彼に吹き込んだのかと思うと少し腹が立つ。

「今度キルにも試そう」

誰だ。