「マックって手広いよ、今度はチキンだ」

がつがつ鶏肉を頬張り、胡椒の強い辛さが舌にしみる。ストローを鳴らしシェイクを飲んでいる静雄を見てると私も少し飲みたくなって、ストローから離れたところを狙うとシェイクの中身はもう空だった。

「もうない」

「買ってこいよ」

「お金ない」

「奢ってやるよ、そんぐらい」

わざわざ買いに行くほど飲みたいとは思わなかった。前歯でストローの口をかじり潰し、肘をついた低い姿勢から静雄と目が合えば鼻で笑われた。お前、人が口付けたもんをそんなに噛じるのやめろって。堅い静雄の指で前髪を擽られる。いらいらすんだもん。

「別にいいけどよ。それより早く食え。煙草吸いてえから」

携帯画面に写る反射で歯ぐきを確認してから、ニカっと静雄に笑いかければ空の煙草が飛んできた。

「行くぞ」

「どこに?」

「俺ンち」

私に向けられた静雄の手が意外にも大きくて胸がはねた。


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