のだめと初めて会ったのは池袋の東口。取り立ても終わり、家に帰ろうとした最中のときだった。

待ち合わせの為に道端でたむろする膨大な人間の群れの中に一人ぽつんと座り込んで、彼女はいた。携帯を閉じたり開けたり、何気ない動き全てが目について俺は気付けば彼女の前に立っていた。

「あ、ヘイワジマシズオさんだ」

「俺のこと知ってんのか?」

「知らない人なんているかな」

「さあな」

携帯を鞄にしまい立ち上がって視線を合わせてきた。彼女の目はあれに似ている、ワイドショーを嬉々として見入る野次馬の目。何で俺はこんな女の方へ来てしまったのか。

「ヘイワジマさん、お友達になってよ。そして道案内してほしいの」

そんなことを思い出しながら買い物から帰り、ベランダで泣いているのだめを見て、胸をおかしくしてしまっている今の俺には何も分からない。