あわよくばなんて考えた俺がいけなかった。
「最低!」
「え、あ、えぇ」
あれから家まで連れてもらって、中まで運んでもらって、ベッドにおろしてもらって、キスしようとして、怒られた。
「酔ったふりですか?勘弁してください」
「ちが、」
「もう二度と近づかないでください」
俺から近づいたことなんてねえよぶっ飛ばすぞこの女、とは言えない。
そのまま女は俺にビニール袋を叩きつけて突き飛ばした。さすがに頭にきた俺は女の後ろ髪をひっ掴んで、ベッドに倒す。女の顔は真っ赤だ。
「てめえ、さっきから酔っ払いに何してくれんだ」
「何開きなおってるんですか。言うこと聞かなきゃ無理矢理とか最低最低!」
「違えよ!このアマ…」
女の目と鼻っつらが真っ赤になったところで我に返った。急に沈んでいく怒りの波が引いていく。
「ごめんなさいすんません襲うつもりは毛頭ありませんでした」
「…知りません」
あのたくましい女が今俺の下で泣いている。ああ、これで何も手を出せないっていうのはかなりの罰だ。
「本当すんません…酔ってた、んです」
「聞きたくないです」
まずいな。俺はどうしたらいい。女の目から流れでる涙が俺のベッドシーツに染みを作って余計にそれが俺の中でリアルに響いてきた。
「すまなかった」
「そんな顔で言われても困ります」
「あ?」
「き、綺麗な顔だからって、私は、屈しない…」
「おい」
「はい?」
「舐めていいか?」
「や、やめてください!」